【第91回 2016.06.09】

英国便り

投稿者:山川恵子(昭和46年 理学部数学科卒)

 娘が昨年英国に赴任しました。英語が全く話せない四歳と六歳の男の子を連れて行くので、年金生活の私は彼らの生活のサポートで短期滞在しています。この短い、しかも限られた地域での学校について述べたいと思います(決して一般的と思わないで下さい)。
 ロンドンから電車なら四〇分の郊外、そばをテムズ川が流れナショナルトラストの公園や会員制ゴルフコースが散在しているアッパーミドルの住宅地というところでしょうか。子供たちは現地の小規模な私立校に通っています。
二区画分の住宅地に民家風の校舎と狭いグランド。ホールと呼ばれる建物は机や椅子の移動で体育館・講堂・食堂に早変わり。近隣の公立校がサッカー場の二、三面は取れるような広い空間を所有しているのに比べると本当に狭い(日本の文科省なら絶対に認可しない!)。 ここに小学校六学年と年長・年中の八クラス、約百五十人が通っています。

 まずは六歳(今は七歳)の教室についてです。入学したのは英国一年の最終学期。クラスはもうアルファベットや簡単なwordの書き方を終わっていて、入った途端に先生や友達が言っていることも何もわからない環境に置かれて緊張の連続だっただろうと思います。
その緊張も限界を超えると脳は眠りの指令に変わっていくのか、教室で深い眠りが数回ありました。日本語が比較的読めていたこと、算数に興味があって遠山啓著の「さんすうだいすき」シリーズを自分で読みこなせていたことが幸いして、mathの授業は英語がわからなくても数式だけなら答え(数字)はでる!そして書ける。
万国共通というのはなんと偉大なことでしょう。彼は得意科目ができて自信に結びついていきました。
 二年になった今は掛け算(Time Table)と四則演算が入った文章問題が宿題として出てきます。写真は文の中の演算になるwordが書かれている表で、学校から配られたものです。彼は文章が完全に理解できなくてもこれらのキーワードを覚えて、かなりの部分を解釈して解いているようです。
 ちなみに次の問題「Jenny and her family went on holiday for 2 weeks. It took them 2 days to drive to the campsite and 2 days to drive back. How many days did they spend at the campsite?」の彼の答えは2+2=4 4daysでした。 Daysを問われているのですから、文章中に出てくる数字は2daysと2daysであり、彼の脳は2weeksは対象外と最初から判断しているのがよくわかります^^)。これからは英語力がないと解けない問題になるでしょう。彼がどのようにしてそれを克服していき、自分の立ち位置を確保していくのか楽しみです。
 彼の名誉のためにいうと、2年の1学期(Autum Term)に"Caring Cup"を受賞しました。友達にケアされる側のはずなのにケアする側?と理解できなかったのですが、「彼はmathの時にお友達に教えているんじゃないの?」と言われて納得でした。それにしてもこんな粋な計らいをしてくださる担任に感謝です。

 もう一つ、"hand writing"を紹介します。手書き文字のことで、この地ではとっても大切です。英国はカード文化で、誕生会の招待・お礼などにカードを頻繁に贈りあいます。  そしてそこに書かれるのはうっとりするような手書き文字です。四歳の子が習い始めました。写真は週末にでる手書き練習用のお手本です。さすがにビジネスではこの文字を書く人はいないようですが、小学校のレポートなどはすべてこの文字で書きます。でもこの文字、私たち世代が英語の時間に手書き文字として覚えたものとは大違い!
米国の小学校では絶対に書かない文字だそうで、こんな所にも英国の"気取り屋さん"を見たように思います。


リレーエッセイへのコメントを募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。