【第118回 2018.10.17】

64歳になって思うこと

投稿者:西村 文宏(人文学部法経学科(法学専攻) 昭和52年卒)

 静岡大学を卒業して42年が経とうとしている。一流と言われる企業に就職し、仕事が決して好きな方ではなかったものの、組織に守られながら今日まで生きてきた。もう直ぐ、また別の人生のステージに立ち、自身の体力・気力と相談しながら頑張ろうとしている。同時に、今こそ自己の存在を問い直す機会だと認識している。

 アイデンティティーとは何か。

 これまで、自分はあまりに周りの人々を頼りに生きてきた。世間が他人との交渉なくして成り立たないものだとは分かってはいるが、主体的に生きてきたのではなく、結果的には生かされてきたのだと思う。これからはさらに、老いに伴いこれまで以上に他人に助けを求める場面が増えることも想像に難くない。

 しかし、あえて自らの立ち位置を変え、浮き世のしがらみを乗り越えた、独立した自己がもっとあっても良いのではないかと考える。周囲に埋没してしまうことを拒み、自分の考えを外に向けて率直に表現し、時には意見を闘わせる、こんな簡単なことすら今までは十分にできていなかった。たとえ他人の影響を受けることがあっても、最後に判断するのは自分自身、ワレヒトリだ。自分で責任を取れば済む。

 他人に煙たがられても構わない。時流や大勢に流されない、「老人」ではなく「考える人」、「モノ言う人間」に私はなりたい。


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