【第22回 2012.06.05】

シンプルな約束ごとと明確な表示

投稿者:梅田 勇夫(昭和45年卒 理学部 化学科)

隣の市に住んでいる友人宅を訪問したときのことである。住所がわかっていたのでカーナビを使って車で行くことにした。近くまでは案内してくれたが、その先が分からず何度も人に聞いてやっとたどり着いた。この場合、言葉が通じない海外で、これといった目標物となるものがなかったら、道案内はどうしたらよいか、まったくお手上げである。

初めてアメリカのデトロイト郊外の一地方都市を訪ねたときのことである。列車やバスが不便なので、タクシーで目的の住宅に行くことにした。片言の英語でこの住所まで行ってくれと恐る恐るお願いすると、約50kmの距離を30分ほどでまったく迷うことなく目的地に到着した。特別有名な建物ではなく、単なる集合住宅である。あとで、この町の地図をみると、通りは大きく2種類に分別されており、アベニュー(Ave.)とそれと交わる通り、ストリート(St.)である。その各通りの名称は交差点毎に表示されている。さらに、コンビニやスーパー等目印となる建物はないが、各住宅には道路から確実に見えるように番地が打ってあり、通りを挟んで片方の番地は奇数、他方の番地は偶数で、小さいほうから順に付けられている。目的の建物は通りと番地さえ分かれば通りの手前か奥か、右側か左側かなど分かり、確実に目的地にたどり着くことができるのである。

どんな国や社会であっても、目的の場所に迷わず行くということは一番の基本となる。そこに長年住んでいるわけではなく、外部から来た初めての人に対しても、道案内は分かりやすく整備されていて欲しいものである。国際化社会を迎えるにあたり、道案内に限らず、「シンプルな約束ごとと明確な表示」の基本原則は大切にしていきたいものである。

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