【第51回 2013.10.11】

人生の旅

投稿者:中村 元弘(農学部農芸化学科13回卒)

戦前産まれの人間が、静岡の地に育ち、静岡の学校で学び、静岡の場に勤務して、その殆どを静岡で過ごしたことが悔いにもなる。国内の6割の県を訪れたことがなく、外国は6カ国に滞在したばかりである。おかげで、テレビの映像による地域探訪は初見の楽しみになる。内外の地域探訪は、地理と歴史は子どもの頃の必須科目としてくれたおかげで、今でも楽しみの素材となってくれる。ところが、困ったことが出てきた。近年、素晴らしい映像で紹介される外国の地が、昔も今もあまり変化していないことに、懐かしくも嬉しくなるのだ。ところが、日本の地は、特に都会は、5年もするとまったく変わってしまい、自分が外国にでも出かけたような気分になるのである。だから、日毎に出不精になり、テレビの映像で内外の地を旅するという楽しみを大事にするようになる。でも、最近わかってきた楽しみは、同じ場所を、間をおいて何度も何度も訪れるという方法である。それは、都会と中欧を楽しむ上手な方法だろうと思っている。こうして、日本と世界の殆どを知らないで、人生の旅を終らせようともくろんでいるのである。


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