【第68回 2014.10.24】

生物社会のルール

投稿者:瀧 昇悟(昭和49年農学部園芸学科卒業)

  自分がこれまで関わってきた人達、うるさくて、扱いにくい、目の上のたんこぶのような個性的な人など、よくぞいろんな人間と付き合ってきたなという思いと同時に、こうした人の中にはいざという時に思わぬ威力を発揮する人がいました。
  植物生態学者である宮崎昭さんが、「競争」、「我慢」、「共生」が生物社会の掟だと述べていますが、62歳となった私自身も今更ながら実感しています。
  仲間と日常互いに競い合い、先行する仲間を横目にじっとチャンスを待ち、各人がそれぞれの役割を分担して目標に向かっていく。「競争」、「我慢」、「共生」は私が、2004年に開催された浜名湖花博覧会の展示部長として、187日間で545万人のお客様を迎えて楽しんでいただくために、スタッフとともに開催準備に悪戦苦闘した8年間、日常くりかえされたことでした。
  それともう一つ、気にかかっていることがあります。宗教評論家のひろさちやさんがこんなことを書いていました。昆虫学者によると、私たちが勤勉な働き者だと、教えられているアリは、実際には2割だそうで、残りの8割はあまり働かないそうです。
  そこで、勤勉に働いているアリばかりを集めて新しい集団を作ってみると、たちまち8割のアリが怠け者に変わったそうです。逆に怠け者のアリばかりで集めた集団では、そのうちの2割が真面目に働き始めたそうです。
  私たち人間社会でも、怠け者がいるおかげで働き者が目立ち、もしも怠け者がいなくなれば、いま働き者であるあなたが怠け者に転じるかもしれないかもしれません。「競争」、「我慢」、「共生」とどこかでつながるところがあるのかもしれません。この世の中は、なべて「ご縁の世界」なのかも。



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