2011/03/09

強誘電体ニオブ酸銀の結晶構造を解明
−有害な鉛を使わない電子材料の開発を促進−

符徳勝テニュアトラック准教授等は、東工大及び東北大との共同研究により、1958年以来の謎であった強誘電体ニオブ酸銀の結晶構造の決定に成功。材料化学の専門誌「Chemistry of Materials」の速報「Communications」のオンライン版で公開される。論文名:Structure of Ferroelectric Silver Niobate AgNbO3
この成果は今後、ニオブ酸銀系で非鉛圧電・誘電材料や光触媒の開発を促進すると期待される。

【概要】
東京工業大学総合理工学研究科の八島正知准教授らは有害な鉛を含まない電子材料や光触媒として注目されている強誘電体(用語1)ニオブ酸銀(AgNbO3)の結晶構造を世界で初めて解明することに成功した。ニオブ酸銀は有害な鉛を含まない強誘電体であり、優れた圧電性(用語2)を示す。しかし、1958年の発見以来、正確な結晶構造は分かっておらず、なぜ強誘電性(用語1)や圧電性を示すのか理解できていなかった。
今回、八島准教授は同大学応用セラミックス研究所の伊藤満教授、東北大学多元物質科学研究所の津田健治准教授、静岡大学若手グローバル研究リーダー育成拠点の符徳勝特任准教授らとの共同研究により、電子回折(用語3)実験、収束電子回折(用語4)実験、東京大学物性研究所共同利用による東北大学金属材料研究所の中性子回折装置を用いた中性子回折(用語5)実験、高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設に設置された多連装粉末回折計を利用した放射光X線回折(用語6)実験、第一原理計算(用語7)を駆使して、ニオブ酸銀の正確な結晶構造を世界で初めて解明、強誘電性と圧電性が生じるメカニズムを突き止めた。これによって原子スケールでの材料デザインが可能になり、ニオブ酸銀系で、鉛を含む材料をしのぐ性能の圧電素子(用語2)を作るための電子材料や、光触媒の開発を促進すると期待される。
この成果は材料化学の専門誌「Chemistry of Materials」の速報「Communications」に受理され、近くオンライン版で公開される。