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学長メッセージ

平成22年度静岡大学入学式・静岡大学大学院入学式 式辞

満開の桜のもと、本日ここに静岡大学入学式を迎えられることを静岡大学構成員全員を代表しまして、御礼を申し上げます。
平成22年度、学部学生2,099人、大学院前期(修士)課程人、大学院後期(博士)課程32人、教育実践高度化専攻21人、法務研究科13人の合わせて 2,796人の新入生をお迎えすることができました。この中には、12カ国、70人の留学生も含まれています。

静岡大学は、「自由啓発・未来創成」をビジョンとしています。静岡大学の元になった前身の学校は、学生の主体性を重んじる教育方針をとっていました。「学生をもっとも自由な環境に置き、その個性を尊重し、その才能を伸ばす」教育が行われていました。自由闊達な学びで、未来をつくっていく。その理念を、現在も発展的に継承しています。大学のHPに詳細が載っていますので、ぜひご覧ください。

新入生のみなさん。静岡大学は、学生1人ひとりの学びと成長を考え、教育研究を行っています。静岡大学は何よりも、学生の学びを大切にする大学でありたいと思っています。学生と教職員がともに大学を作っていくメンバーとして、一緒に成長したいと思っています。

ところで、大学は、小学校、中学校、高校とは違います。「生徒」と「学生」の違いです。生徒は、中学生・高校生のこと。大学生は学生です。文字の違いだけでなく、意味も違います。広辞苑では、生徒は「教育を受ける者」、学生は「学業を修める者。特に大学で学ぶ者」を指します。「教育を受ける」と「学業を修める」…この言葉をよく噛み締めてください。大学では、自分で学ぶことが基本になります。「これは出来たか」「あれはどうか」「何々はまだか」など細かい指示は大学ではあまりありません。それは、「生徒」ではなく「学生」だからです。大学での教育は、学生が一方的に「受ける」ものではなく、教職員とともにつくっていくものです。
もちろん、静岡大学は、学生1人ひとりをサポートしていく体制を整えています。教員、職員、先輩学生、図書館、学習相談、就職相談、アルバイトや課外活動の相談、心の相談など様々なサポートを用意しています。どうか自分から積極的にサポート体制を活用してください。それらをどんどん活用した人が、学生として大きく深い学びができます。
高校までと違い、静岡大学には全国各地、世界各国から学生や大学院生が来ています。様々な出会いがあります。多様性と異質なものを認め合い、ともに生きる姿勢を静岡大学で養ってください。総合大学としてのいいところを、ぜひ実感してください。
現代は、グローバル化、世界標準という言葉が頻繁に使われます。グローバル化、世界標準に準拠することが大切ですが、どうか皆さんは自らリードして新しいルールや世界標準を作れる人を目指してください 。

さて、内田樹(うちだ・たつる)さんという研究者が最近出した本に『日本辺境論』があります。少し省略しますが、自分の意見を述べるということについて、おおむねこのようなことを述べています。「・・・・ すらすらと立て板に水を流すように語られる意見は、まず『他人の受け売り』と判じて過ちません。・・・・ 他人の受け売りをしている人間は、意見が合わない人と、両方の中ほどの、両方のどちらにとっても同じ程度不満足な妥協点というものを言うことができない。主張するだけで妥協できないのは、それが自分の意見ではないからです。・・・・ ある論点について、『賛成』にせよ『反対』にせよ、どうして『そういう判断』に立ち至ったのか、自説を形成するに至った自己史的経緯を語れる人とだけしか私たちはネゴシエーションできません。・・・・ 」
自分がどうしてこのようなものになり、これからどうしたいのかを『自分の言葉』で言うことが大切だと内田さんは述べています。これは、考えるときに、結論だけでなく、経過・プロセスを大切にするということです。自分の言葉で話すためには考えるプロセスが必要だからです。自分の言葉で何かを伝える力を、どうか大学時代に身に付けてください。自分の言葉で話す力は、性格や個性ではなく、意識して鍛えることのできる力です。訓練できる力です。学生時代に、自分の言葉で話すことを鍛えてください。
『日本辺境論』は生協でも売っていますので、興味のある方はぜひこの続きを読んでください。

高校まではある程度決められたものを決められた手順で教えられますが、大学はそうはいきません。誰かが決めた目標でなく、自分で目標を見つけ、それをどのように達成するのか、どうすれば成功するのか自分で考えて決めることが必要になります。
何でもいいですから、自分の興味のある分野を1つでも2つでも探して、ぜひ勉強してください。
何かを調べたりするときに、皆さんは携帯やインターネットの検索エンジンなどを使っているでしょう。毎日携帯でメールを何十通もしているでしょう。情報化社会、高度情報化社会、IT社会などと現代は言われていますが、みなさんは情報とデータの違いを考えたことはありますか?私の専門は情報学ですが、情報とデータは違います。データは、「客観的な事実を数値、文字、図形、画像、音声などで表したもの」。情報は、「ある特定の目的について、適切な判断を下したり行動の意志決定をするために役立つ資料や知識(大辞林第二版より)」です。データに対し、ある主体が解釈を加え、特定の目的に対する意味づけをした結果が情報です。「解釈を加える」とは、目的や目的達成のプロセスに対する価値観や仮説に基づいて加工したり、意味づけをするということです。
だから、本来は簡単に情報を共有することはできないのです。価値観や仮説を共有していなければ、また、加工方法の妥当性について納得していなければ、情報を信頼することはできないし、他者と情報を共有することもできないのです。情報を得るためには、目的を理解し、情報発信者の価値観や仮説を形成する文化的背景を理解し、加工のプロセスを理解することが必要です。
情報を手に入れ、理解し、それを使うこと、あるいは情報を取捨選択することは、実は非常に面倒で大変なことでもあるのです。
「簡単に手に入れたものは、簡単に忘れる」という言葉があります。英語では「Easy come Easy go」というようですが、パソコンの前だけで何でも済ますことなく、教員に聞く、先輩に聞く、他の学生と話す、図書館に行く、本を読むなど自分の手と足と耳を十分に使って勉強してください。

現代社会は、複雑で多様です。答えが1つではない社会です。二十一世紀は「答えのない社会」といってもいいでしょう。白か黒かはっきりしない時代、二者択一ではうまくいかない時代です。複雑で混沌としているからこそ、自分を大切にして、意思を持ち、自分の言葉で話せる人を目指してください。自分の船で、自分で航路を決め、海に乗り出していってください。
静岡大学はそんな皆さんを全力でサポートしていきたいと思っています。

平成22年4月4日
国立大学法人静岡大学長
伊東 幸宏

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