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学長メッセージ

平成26年度静岡大学学位記授与式 告辞(静岡)

 ただ今、学部1202名、大学院修士課程214名、専門職学位課程の教職修士19名、大学院博士後期課程11名、そして専門職学位課程の法務博士4名の方々に、それぞれ学位記を授与致しました。また、愛知教育大学との共同大学院として教育学博士の学位を2名の方々に授与いたしました。 
 明日の浜松キャンパスでの卒業・修了を合わせると、学部1941名、大学院修士課程550名、大学院博士課程33名、専門職学位課程23名、論文提出による博士1名の合計で、2548名の方々に学位記を授与することとなります。
 卒業生、修了生の皆様方、ご卒業おめでとうございます。 ここに、静岡大学教職員を代表して、お祝いを申し上げます。卒業生・修了生の今日のこの日を心待ちにしてこられた、ご家族・保護者の皆様方には、心よりお祝い申し上げます。 おめでとうございます。
 ご多忙にも関わらず、授与式にご臨席をたまわりました方々に、厚く御礼を申し上げます。有難うございます。

 さて、おめでたい席ですが、あえてお話ししたいことがあります。2011年3月11日の東日本大震災についてです。
 報道等によれば、2015年2月時点で、避難している人はおよそ23万人、プレハブの仮設住宅に住んでいる人はおよそ8万人以上います。東京電力福島第一原子力発電所の避難指示区域では8万人の方が避難しています。丸4年過ぎましたが、住み慣れた自宅やコミュニティを失って、仮住まいの人がまだ大勢いらっしゃるのです。
 東北から遠い地域では、私を含め、それらの事実を忘れがちになります。復興への取り組みは、まだまだ続きます。息の長い支援が必要です。なによりも大切なのは、忘れないことではないでしょうか。静岡大学を卒業するみなさまも、どうか今一度、心に留めていただければと思います。
 ところで、「津波日本一の町」をご存知でしょうか? 南海トラフ地震で想定される津波が、全国最大の34メートルになるといわれた町です。新聞やテレビで「津波日本一」という有難くない名前をもらったのは、高知県の西部にある人口約1万2千人の黒潮町(くろしおちょう)です。
 1月12日と13日の読売新聞によれば、黒潮町の第三セクターが、特産品をふんだんに使って非常食用の缶詰を開発したそうです。「カツオと国産キノコのポモドーロ」「タイとアーティチョークのカレー風」などです。4月から各地の「無印良品」で販売されるそうです。非常食は気づかないうちに賞味期限が切れてしまうことも多いので、日常的に食べてもらえるおいしさを追求したと開発担当者はのべています。知名度があがったのを利用して「防災の町」として売り込もうという戦略です。黒潮町は「犠牲者ゼロ」を目標に、住民と一体となって命を守る取り組みを続けています。
 「ピンチはチャンスだ」「弱みは強みだ」といいますが、実際にはピンチをチャンスに変えることはとても難しく、気持ちが萎えて前に進めなくなることもあります。
 しかし、黒潮町はもののみごとに、ピンチをチャンスに変え、弱みを強みにしました。弱みを知ることは、今の自分を見つめ直し、戦略的に今後を考える武器になるということを、改めて思い知らされました。ピンチは自分を振り返るきっかけになります。同時に、ピンチをチャンスに変えるには、発想の転換や豊かな想像力が必要だと気付かされます。
 これからの人生、今の自分からは想像もできないような様々なことが起こるでしょう。楽しいこともつらいことも、いいことも悪いことも、ピンチもチャンスも起こります。
 そのとき、狭い視野にとらわれず、少し自分を俯瞰してみてください。一人で解決するのは難しいこともあるでしょう。誰かに相談し、協働して解決することも必要になるでしょう。あるいは、自分の過去を振り返ってみることも役に立つでしょう。幼少期を過ごした町に行って、幼かったころどんな夢を持っていたか、青春期を過ごした学校を訪ねて、何を目指して勉強をしてきたか、振り返ってみることで自分を再発見することができるかもしれません。
 静岡大学はみなさんの出身校・母校であると同時に、こころの拠り所としての「故郷(ふるさと)」でもありたいと思っています。「故郷(ふるさと)」を思う気持ちで、これからもずっと静岡大学を想っていただけると、幸いです。

 学び舎の静岡大学を忘れず、これからの人生をしなやかに、精一杯生きていってほしいと願っています。みなさんの今後の活躍を期待しております。

 これをもちまして、静岡大学長としての、平成26年度学位記授与式の告辞と致します。


平成27年3月21日              
国立大学法人静岡大学長  
伊東 幸宏  

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