2012/10/18

■ 東日本大震災被災地の復旧、復興への貢献

1.東日本大震災の復旧、復興のため、既存の研究成果が直ちに活用できるもの

詳細内容紹介

(農業)

1-1.塩害被災地での稲作等復興支援
【氏名・役職・所属】 河岸洋和・教授・創造科学技術大学院
【内容】 フェアリーリング現象※を引き起こすキノコから発見した化合物は、米の収量を大幅に増加させるとともに、幼苗レベルでは、イネの生育が阻害される塩ストレス(食塩濃度の高い)、低温、高温状況下では耐性を与えます。この化合物の使用により、除塩に必要な期間・経費の大幅な短縮が期待できます。
※輪状に芝が色濃く生え、その後、キノコが生える現象
【現状】 室温のポットレベルにおいて高食塩濃度下で栽培を開始するとともに、実際の水田で化合物を用いた稲の生育試験に移る計画です。
【メッセージ】 津波で被害のあった水田での当該化合物を用いた稲の生育試験をするため協力いただける水田を探していますのでご連絡をお願いします。
良い結果が出れば非常に大きな成果となるとともに復興に貢献できると考えます。もちろん、成長はするものの玄米中に塩分が移行し、塩辛い米のできる可能性もありますが、その場合でも水田の脱塩、収穫した米は飼料としての利用等検討できると思います。
なお、当該化合物の使用方法について現在、特許出願中です。

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1-2.施設園芸の健康土壌回復(農業資材の活用)
【氏名・役職・所属】 徳山真治・准教授・農学部
【内容】 イチゴの収穫に深刻な被害を引き起こすカビの一種の病害「イチゴ炭疽病」による被害額は年間160億円以上にのぼりますが、イチゴのような生食される食物は残留農薬の問題もあり農薬は使用を控えることが望まれます。
本研究では「イチゴ炭疽病」発生防止に有効な微生物を突き止め、この微生物を多く含む堆肥の商品化につなげました。更にはイチゴ以外の作物への応用につなげるべく研究を継続中です。
【現状】
  • イチゴ炭疽病に有効な放線菌を用いた高機能堆肥を開発、民間企業に技術移転し、現在販売中です。
  • イチゴ内生菌の分離とそれを用いた液肥を開発中です。
  • 本年度は、イチゴ以外の作物(メロン、ショウガ、ブロッコリー等)に適した放線菌堆肥の効用について本学的な実証試験を行う予定です。
【メッセージ】 本堆肥の活用により、津波で海底のヘドロ等の被害にあった地域のイチゴ栽培用農地について健康土壌への回復に貢献できると考えます。堆肥の生産、販売企業が廉価につて貢献を検討中ですのでお問い合わせください。
また、津波で被害のあったイチゴ以外の農地についても、作物への適用の実証試験のため協力いただける農地を探していますのでご連絡をお待ちしています。

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1-3.塩汚染土壌における新しい作物の育成(食用植物の掘り起こしと栽培)
【氏名・役職・所属】 原正和・教授・農学部
【内容】 これまで行ってきた、植物が有する塩ストレスに応答する糖質代謝酵素遺伝子や天然変性タンパク質の単離等の研究成果に基づき、塩(NaCl)や重金属類を集積するアイスプラント(佐賀県の干拓地で栽培)や食べられる海岸植物としてのツルナ(ニュージーランドスピナッチ)、オカヒジキ等塩汚染土壌における食用植物の掘り起こしと栽培について協力します。
【現状】 塩汚染土壌における食用作物の育成を視野に入れた、被災地における研究協力の準備があります。
【メッセージ】 津波により土壌の性質が全く変わってしまったことを踏まえ、被災地の皆様のご理解のもと、事前に入念な有害金属分布調査を行う必要があります。この調査結果を踏まえての植物の選定、成果の検証等にあたっては協力できると思います。

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1-4.Dトレイを用いた養液栽培による被災地支援
【氏名・役職・所属】 糠谷 明・教授・農学部、切岩和・准教授・農学部
【内容】 東日本大震災の津波により被害を受けた地域は、土壌に塩分が残存し、土耕による農作物の栽培は暫くできません。野菜園芸学研究室では、土を使わないで野菜等を栽培する技術(養液栽培)を長年研究しており、後述するDトレイによるトマトの低段密植栽培に関する技術を有しています。2009年には本学農学部附属フィールドセンター藤枝フィールド内に、この技術を活用してトマトの生産実証を行い、また栽培技術指導を行う静大発ベンチャー企業「叶テ岡アグリビジネス研究所」が設立されています。
Dトレイは、D形状(容積250mL)のポットが10個(2列×5個)連結されたトレイです。Dトレイでは250mlという少量培地の特徴を生かし、少量多頻度給液によって根面境界層を形成させない管理を行って、植物の生育を良好にします。また、培地容積が少量な根域制限栽培であるため、容易にストレスを与えることができ、高品質な果実の生産が可能となります。栽培架台は、ハウス用パイプ等で作成するので、軽量かつ簡易です。しかも。4200株/10aと高栽植密度としても、500万円以下と安価に設置できます。排液をシート等で余剰培養液を回収するため、環境負荷のない閉鎖系の栽培体系(非循環式閉鎖型システム)です。
被災地域には、日照時間が多い、消費地に近いなどの適地が多いため、公的機関または民間が初期コストを投入すれば、復興の一翼を担える施設の建設ができます。これらの施設園芸による農作物の生産により、現地の雇用創出機会も増えます。またその高品質なトマトが生産できるので、国際競争力が格段に高まり、輸出産業にもなり得ます。当研究室の技術の提供により、これらの養液栽培施設生産が安定的に行われるため、被災地支援の大きな力になります。
【メッセージ】 当研究室では、本学イノベーション社会連携推進機構と連携して、石巻市におけるトマトのDトレイによる施設栽培の導入に関する支援を開始しています。

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(災害廃棄物処理、活用)

1-5.被災地廃棄物、生活ごみの廃棄物処理、燃料化
【氏名・役職・所属】 佐古猛・教授・創造科学技術大学院、岡島いずみ・助教・工学部
【内容】 安全で無害な200℃の熱水を用いて、被災地に蓄積している大量のがれき中の有機廃棄物や生活ごみを、石炭並みの高発熱量でクリーンな粉末燃料に変換する技術を被災地に導入します。この技術により、夏場に向かって深刻になると危惧されているエネルギー不足と衛生面の悪化に対応できます。
この技術の特徴は以下の通りです。
  1. がれき中の建築廃材や生活ごみといった種々雑多な混合廃棄物を分別せずに処理可能です。
  2. 海水等に浸かって塩分や水分を含んだ有機廃棄物を処理可能です。
  3. 生成した粉末燃料は石炭並みの発熱量を持ち、塩分濃度が低く、長期間保存可能です。
  4. がれき中の有機廃棄物や都市ごみの大幅な減容化と殺菌が可能で、被災地の衛生状態を大幅に改善し、廃棄物の撤去作業を容易にします。
本技術により以下の廃棄物を処理することが可能です。
  1. がれき中の有機廃棄物(建築廃材、家具等)
  2. 生活ごみ(生ごみ、紙ごみ、廃プラスチック等)
  3. 電力のストップにより腐った食品とその包装袋、容器
  4. その他の有機廃棄物
【現状】 塩分を含ませた廃木材をモデル物質とした検証は終了しています。今後、実際のがれき中の有機廃棄物を用いた試験を行った上で、実用装置の建設、実際の運用を行う計画です。
【メッセージ】 ただちに実用装置の建設が難しい場合、共同研究先の企業が持っているパイロットプラントを東北の被災地に送り、現地でがれき中の有機廃棄物の処理の実証的に行うことも可能です。
実用機の建設・運転にご協力いただける企業、装置の設置にご協力いただける被災地の自治体を募集していますのでご連絡をお待ちしています。

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1-6.災害木材、廃材の担子菌の活用による家畜飼料等への変換(フィールド試験へ展開)
【氏名・役職・所属】 平井浩文・准教授・農学部
【内容】 当研究室が保有するキノコの仲間である高活性リグニン分解菌あるいは超高活性リグニン分解菌を用いて、被災地に多く蓄積している家屋等の廃材を常温・常圧化にて処理することにより、木材中のリグニンを高度に除去し、家畜の飼料等を作り出します。
【現状】 処理1ヶ月で約50%のリグニン分解率(この過程で分解されるホロセルロースはわずか2.4%)を示す菌の育種に成功しました。今後は実際の廃材の処理技術を構築し、フィールド試験へと展開したいと考えています(最速で3ヶ月)。
現状は家畜の飼料等への変換にとどまりますが、土壌改良材としての利用も考えられます。さらに将来的には再生可能資源であるバイオマスを原料にバイオ燃料や樹脂の原料にもなるような研究も行っています。
【メッセージ】 テーブルテストで研究が成功した場合、数トンの処理も可能性があります。今後、試験が順調にいった場合、本年夏頃よりフィールド試験に移りたいと思います。フィールド試験や実用化に協力いただける自治体、企業を探していますのでご連絡をお待ちしています。

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1-7.災害木材、廃材の利用可能性検討、チップ化による再利用(日本木材学会等と連携)
【氏名・役職・所属】 鈴木滋彦・教授・農学部(学部長)
【内容】 復興に不可欠な廃木材全体の処理計画を立てるため以下を実施しています。
  • 災害廃木材の発生量の推計
  • 災害廃木材の品質区分(利用可能性による区分)の提案
  • マテリアル利用およびエネルギー利用を目的とした廃木材のチップ化
  • 木質ボード原料としての利用可能性の検討
  • 災害廃木材を原料とした木質ボードの性能評価
  • 津波被害木材の評価
【現状】 本学では、日本木材学会木質材料分野有志、日本木材加工技術協会木質ボード部会、日本木材学会木質パネル研究会と連携して上の作業を実施中です。
【メッセージ】 津波被害のない倒壊木造住宅の柱など、可能なところから木材のリサイクルが着手されていますが、災害木材廃材の総量の推計(600万t)が根拠不十分であるほか、廃木材全体の処理計画が定まっていません。これらは喫緊の仮題であるとともに、長期(5年以上)に渡る対処が必要です。
既に、上の学会、協会においては被災県と連携して活動中ですが、市町村等においても調査にご協力をお願いしたいと思います。
また、対処にはNPO法人全国木材資源リサイクル協会連合会、NPO法人北日本木材資源リサイクル協会のほか、関連学協会等の団体との情報交換、リエゾン作業部会等の協力が必要であることから本学としても協力を働きかけていきたいと思います。

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(防災・除染)

1-8.照葉樹林を防災林としての活用調査
【氏名・役職・所属】 増澤武弘・特任教授・理学部
【内容】 被災地においては、塩害に強いクロマツを植林していたところ、津波により大きな被害にあいました。これを踏まえ、クロマツに加え、根が深く防災林として期待できる静岡県の海岸地域に数多く群生しているシイ・カシ等の照葉樹(常緑広葉樹)が海岸地域防災林として、植林できるか可能性を検討しています。
【現状】 被災地の防災林の再構築について照会を受け、現在、静岡県内の照葉樹林の植生調査を行っています。また、久能山東照宮の協力を基に静岡市の潜在自然植生である照葉樹林の構造と機能に関する調査を行ってきました。久能山の照葉樹林は400年間、ほとんど自然のままで維持されてきましたので、この調査により海岸地域に成立する、本来の照葉樹林の姿がわかってきました。
【メッセージ】 静岡県内の海岸地域において、かつて台風などにより被害を受けた植生を調査することにより、照葉樹林がいかに災害に強いかを知り、その性質を被災地で実際に防災林として生かすための整備計画に協力したいと考えています。また、静岡自然環境研究会や学生のグループで、できるだけ早く調査を進め、大学として地域連携の協力体制を作っていきたいと思います。

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1-9.白金ナノ粒子を主成分とした放射能内部被曝からの防御法の提示
【氏名・役職・所属】 露無慎二・特任教授・農学部
(併任:静大発ベンチャービジネス(株)Eu-BS取締役代表
【内容】 白金セシウムの可溶化と、可溶化後の濃縮の手法を開発したので、 新しい除染法で根本的な解決を図るための研究を行っています。
【現状】 すでに内部被曝防止用マスク、スプレー液「キロール・プラテクト」などの販売を開始しました。
【メッセージ】 現在の除染作業は比較的汚染の低い領域から始められており、高汚染領域は敬遠されています。これは、放射性セシウムが地表など多くの物質に吸着しており、可溶化する良い方法がなく、また、可溶化した後にこれを効率よく濃縮する方法がないからです。このため、現在は、除染作業で集められた集積物が閉校になっている小学校や中学校に山積みされているのが現状です。これでは、いつまでたっても安全安心の環境は戻って来ません。

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1-10.環境放射線の測定と遮蔽効果の高い建築材料の提案
【氏名・役職・所属】 平川和貴・工学部・准教授
【内容】 福島市内の教育機関などやその周辺において空間放射線量を測定しました。ホットスポットと言われている場所でも建物内では放射線量が通常レベルまで低下している場合が多いことがわかりました。特に鉄筋コンクリート製の建物では、窓ガラス部分を除き、ほぼ完全にカットされました。また、木造建築の建物でも外壁材料や壁からの位置により、大きくカットされました。建物内では、壁の工夫により、放射線量を無視できるレベルにまで遮蔽できる可能性があります。
【現状】 まだ、根本的な解決にはなりませんが、空間放射線量の正しい測定により、安全な場所と気をつけた方が良い場所の区別が可能になると思います。また、建築材料の工夫により、外部からの放射線を大幅にカットすることが可能ですので、多少でも安心を高めるための参考にはなると思います。私共も手探りの状況ですが、現場で放射線量を測定しながら、放射線の影響をできるだけ少なくする方法を見つけられる可能性があります。
【メッセージ】 関東地方の他、静岡県においても、放射線に対する不安の声を聞きます。環境中の放射線量を正しく測定すると、漠然とした不安を取り除く小さな助けになるのではないかと思います。

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(ITによる支援)

1-11.安否確認システムの導入支援(クラウド安否情報システム)
【氏名・役職・所属】 長谷川孝博・准教授・情報基盤センター(副センター長)
【内容】 災害時に登録者にメールを送信し、安否登録ができるシステムの導入を支援します。システムは以下の特徴があります。
  1. 大地震などの大災害時に、組織構成員の安否を1〜3時間以内で掌握可能。
  2. 地震災害に対して自動的に災害モードに移り、安否の収集を自動的に進行する。管理者が被災の場合でも安心のシステム。
  3. 携帯のGPS機能により、位置情報を登録可能(DoCoMoに対応)。
  4. 外国立地データセンターのクラウドサーバを使用しているので日本国内の災害に一切影響を受けない。
  5. 静大システムを複数用意しておくので大掛かりな構築は不要、組織の特徴に応じた設定の修正を行うのみ。
  6. 登録を直接ユーザに行わせる機能があるため、登録データなしの状態で開始できる。タブ区切りデータになっていれば数万人を一括登録も可能。
  7. 現在、システムの改良、改善を進めており、費用については導入規模に応じて要相談。ただし、従来システムより大幅な低価格で提供する。
【現状】 既に問い合わせが大学と民間よりそれぞれ1件ありました。
【メッセージ】 現在、システムの改良、改善を進めており、費用については導入規模に応じて要相談。ただし、従来システムより大幅な低価格で提供します。詳細はお問い合わせ下さい。

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1-12.大災害に影響を受けない情報システム廉価導入支援(クラウドサーバシステム)
【氏名・役職・所属】 井上春樹・教授・情報基盤センター(副センター長)
【内容】 大災害に影響を受けない情報システムの導入を支援します。システムは以下の特徴があります。
  1. ホームページ、SNS、メールなどは数日で移行構築可能
  2. 既存システムの移行は数日〜数週間以内
  3. クラウドコックピットにより情報基盤全体を常時監視可能
「従来システム」が災害に弱い、構築に時間がかかる(従来1〜3年)、高価(数億円)、電源・大容量回線設備などが必須、情報リスク大であったのに対して「クラウドサーバシステム」:災害に強い、短期構築可能(数時間〜数日)、電源、大容量回線設備不要、情報リスク小です。
【現状】 既に問い合わせが23件あり、うち、13件導入支援中です(5月19日現在)。
【メッセージ】 被災された大学、各種学校、自治体、企業等問わず、申込があれば1週間程度で提供可能(6カ月無償)です。無償提供・支援台数上限は100台と致します。それ以上は有償と致します。詳細はお問い合わせ下さい。
また、クラウドサーバ(Linux,Windows)とシステム構築支援サービスを6ヶ月間無償で提供する静岡大学発ベンチャー企業も紹介可能ですのでお問い合わせください。

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1-13.遠隔ゼミ・会議支援SNSの提供(キャンパス被害、節電対応支援)
【氏名・役職・所属】 井上春樹・教授・情報基盤センター(副センター長)
【内容】 キャンパスに行かなくても多人数での教育・研究・業務が可能となる仮想ゼミナールシステムの導入を支援します。システムは以下の特徴があります。
  1. 授業、研究、会議、出版、論文作成などオールマイティに活用可能
  2. 最大200MBまで添付可能なメール、ファイルサーバとしても活用可能
「従来システム」が災害に弱い、高価(約3千万)、大学向けでない、情報リスク大であるのに対して、「クラウドサーバシステム」は災害に強い、費用不要、完全に大学・学校向け、情報リスク小です。
【現状】 静岡大学の支援として公開するのは初ですが、従来より静岡大学以外の100以上の組織で活用中です。
【メッセージ】 静岡大学で使用中のクラウドSNS=VSSをそのまま解放します。ゼミ数、スレッド数の制限は有りません。詳細はお問い合わせ下さい。

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1-14.大震災による超短期間情報基盤復興、及び大災害に強いクラウドコンピューティング導入講演会の講師派遣
【氏名・役職・所属】 井上春樹・教授・情報基盤センター(副センター長)
【内容】 従来キャンパス上に構築していた情報基盤(コンピュータ、通信回線、データストレージなど)は今回の大震災の前ではなすすべもなく破壊、または停止してしまい実質的な運用が停止してしまった例が多いのが実情です。
今回はIT機器だけでなくそれを支える電源、通信手段が壊滅的な被害を受けてしまいました。
これに対して従来行われていた「震災前の状態に戻す対症療法的な復興の考え方」では非常に長期間の復興時間と膨大な費用を要するだけでなく、計画停電・電力不足など今後頻繁に発生が想定される日常的な障害に対しでさえ安定運用を期待することは到底できません。
また今後発生が想定される新たな大災害に対して脆弱性は改善されません。つまり「また壊れる」ということです。
静岡大学では、これらの課題に対する抜本的対応策として、全学レベルで、すべての情報基盤をクラウドに移行する戦略を策定し、大きな成果を上げつつあります。ここ数年の震災発生において、本学の情報基盤は全くその影響を受けずに安定した運用を継続していることは、マスコミを通じ日本国内だけでなく中国、米国など世界中に広く知られています。最先端でかつ社会への実効効果が大きい研究の成果と言えます。
今回の復興を良い機会ととらえ、大災害に全く影響を受けず、消費エネルギーを従来の1/10、IT投資コストを1/2-1/5にできるクラウドコンピューティングをベースとする大学基盤構築の手順・様々なノウハウを是非お伝えしたいと思います。このプロジェクトの中心的役割を果たしているエキスパートを講師として派遣致します。
【現状】 1カ月に数十件以上の講演・セミナー依頼が殺到しており、情報基盤機構の常勤教員、客員教員全員を動員してそのすべてに対応しています。それが国立大学法人の使命だと考えていますので最優先対応しています。遠慮なく依頼をいただけることを期待しております。
【メッセージ】 詳細を記述した本を3タイトル出版しており、その提供も可能です。お問い合わせください。「電子書籍」などにより、可能な限り無償提供致します。
  1. クラウドコンピューティング 全面適用のインパクト(静岡学術出版)
  2. クラウドVPS入門(静岡学術出版)
  3. 真価するクラウド情報基盤(静岡学術出版)

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(心のケア)

1-15.被災者の心のケア
【氏名・役職・所属】 小林朋子・准教授・教育学部
【内容】
  1. 「支援者のためのこころケアハンドブック」の頒布
    教師や保健師といった支援者がこころのケアを行うために必要な知識やスキルが書かれている「支援者のためのこころのケアハンドブック」を被災地の支援者に頒布しています。
  2. 「ハンドブックのデータ公開」
    ハンドブックのデータを無償で配布しています。
  3. 被災地での活動
    文部科学省等の派遣により、被災地にて心のケア活動を行っています。
  4. 静岡県内でのサポートグループ活動(「アナナス」)
    東日本震災により、県内各地に移住した子どもたちと家族の交流の場を提供するために、静岡大学で5月から来年3月まで月1回、静岡市駿河区のキャンパス内に活動をスタートさせました。
【現状】
  1. ハンドブックは、現在、岩手、宮城、福島、茨城県のすべての養護教諭に配布されることになっています。また被災地で活動しているスクールカウンセラーや、保健師、NGOスタッフにも配布され、非常に好評を頂いております。
  2. 現在、このハンドブックを、中国語、ポルトガル語、英語バージョンでの作成も進めています。
  3. これまで2回、被災地にて心のケアを実施。
  4. 5月15日に第1回を実施。今後は6月19日、7月10日のいずれも午後1〜3時。参加費は1回300円(保険料やおやつ代など含む)。
【メッセージ】 今回の震災で被災された皆様が、少しでもこれまでと近い生活が取り戻せるためのお手伝いを、静岡県内外で行っております。様々な機関とつながり、長期的なケアを見据えた活動を行っていきたいと考えておりますので、ご連絡をお待ちしております。

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(子どもたちの教育)

1-16.子どもたちの元気が出る授業への講師派遣
【氏名・役職・所属】 熊野善介・教授・教育学部
【内容】 被災地のニーズを把握し、教育内容、講師の人選等を行います。これまで静岡県内で行ってきた科学教育・理科教育(正規課程内外)と研究の実践力を活用し、被災地の各学校で科学教育・理科教育を展開することで、学習意欲をかき立て、理科学習の促進に貢献します。これまで以下のようなことを行ってきました。
  • 京都大学との共同プロジェクトである「地球立体表示装置と衛星データを用いた教育プログラム」を展開できます。
  • 本研究室が関わった、「理科ねっとわーく」の中のデジタル教材を用いた学習プログラムを展開できます。
【現状】 静岡大学が静岡県内で既に実施しており、開催実績をもとに同等のものを開催することを検討しています。
【メッセージ】 被災地域においても地元の大学による科学教育が行われてきていますが、震災の影響により十分なニーズ対応ができないことが考えられ、これを補う形で対応することができます。
なお、本学では、個人研究のみならず学際・未踏領域研究の組織的推進の中核的な人材であり、本学における研究等の分野において先駆的・先導的役割を担う静岡大学卓越研究者を選定(本年4月14日選定、22名)しており、ニーズに応じて講師として派遣できると考えています。

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1-17.被災地で理科授業を再開するための調査、資金確保支援
【氏名・役職・所属】 熊野善介・教授・教育学部
【内容】 理科の実験室復旧のための備品・機材等の被害状況を調査する必要があります。しかし、作成現場は大変忙しく、調査をリストにまとめる余裕がないので、日本科学教育学会(副会長を務めています)と日本理科教育学会(教育課程検討委員会副委員長を務めています)、日本地学教育学会等(全国評議員を務めています)が連携協力して、理科授業を展開するうえで、何が不足しているかの調査を行います。
調査にあたっては志願する大学の理科教育関係の先生を各県に派遣し、必要備品・機材等のリストをHPにアップ、優先順位を現場のニーズに応じて判断し、可能なところから支援を行います。
また、文部科学省への具体的なデータに基づいた、理科の実験室復旧のための補正予算措置願いを、各学会を通じて提出するとともに、学会を通じて寄付等の支援を全国に働きかけを行います。
【現状】 日本科学教育学会を通じて全国レベルの取り組みに拡大すべく活動中です。
【メッセージ】 理科の授業をする上で、 本当に困っている内容を確認する作業がとても重要です。被災地の子どもたちが、災害が理由で十分な理科の授業を受けられなくなるような不利益ができるだけ発生しないよう協力していきたいと思います。
被災地の調査、必要備品、機材等購入の支援等ご協力いただけます方はご連絡いただけますようお願いします。

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1-18.被災地におけるミニ科学の祭典の開催
【氏名・役職・所属】 熊野善介・教授・教育学部
【内容】 科学の祭典静岡大会(熊野善介が会長)の活動を拡大し、石巻や、気仙沼、釜石等で子どもたちのための静岡部隊によるミニ科学の祭典を展開することを計画しています。
【現状】 現在、科学の祭典静岡大会と静岡大学の間で具体的計画を検討中です。本学としては、静岡大学卓越研究者※を講師として派遣できるか等協力について検討中です。
※個人研究のみならず学際・未踏領域研究の組織的推進の中核的な人材であり、本学における研究等の分野において先駆的・先導的役割を担う教員を静岡大学卓越研究者として選定(本年4月14日選定、22名)。
【メッセージ】 被災地の子どもたちが、優れた教育研究者による講演により、災害に負けず、学習意欲を持ち、理科学習の促進に貢献します。

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印刷用PDF:1.東日本大震災の復旧、復興のため、既存の研究成果が直ちに活用できるものPDF