2012/10/18

■ 東日本大震災被災地の復旧、復興への貢献

2.東日本大震災の復旧、復興のため、中長期的取組みに貢献できるもの

詳細内容紹介

2-1.乾燥、高塩濃度、有害金属等などの高ストレス下において植物の育成を補助する物質の創出
【氏名・役職・所属】 轟泰司・教授・農学部、大西利幸・特任助教・若手グローバル研究リーダー育成拠点
【内容】 植物のストレス耐性誘導や生育に重要な役割を果たしてる植物ホルモンの生体内濃度やシグナル伝達のON/OFFを調節できる低分子有機化合物数種を開発中です。土壌の乾燥や高塩濃度,低温や高温,傷害や有害金属等のストレス下におかれた植物に対して,どのタイプの化合物が有効か,また最適な投与方法・量・時期について,植物の外観とともにタンパク質・遺伝子発現の分析結果もあわせて総合的に検討を行っていきます。
【現状】 現在、リンゴ幼苗や西洋芝に対する乾燥耐性増強効果を確認済みです。
【メッセージ】 まだ研究ツールとしての有効性を検討している段階ですが,将来的には実用化の可能性も十分にあります。

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2-2.エコタウン設計のためのフィージビリティスタディ
【氏名・役職・所属】 松田智・准教授・工学部
【内容】 菅首相の発表した「バイオマス(生物資源)を使った地域暖房を完備したエコタウンを作る」構想を実現するためには、資源供給力の正確な見積り(上流)から始まり、暖房用燃料生産(中流)を経て、最終需要先(下流)に至る一貫したシステム設計が必要です。
その設計作業には、地域全体に対する物質・エネルギー収支や経済性評価を含む、定量的かつ具体的な調査と綿密な検討が必要なります。本提案では、復興対象地域の中から特定の地域を選定し、ケーススタディ的な調査検討作業を行います。その結果に基づき、あるべき制度設計や補助金の設定などについての具体的な政策提言を行います。
【現状】 基礎的な研究は既に行われており(著書、学会発表等で一部公表済み)、対象地域の協力が得られれば最速で1年程度で可能です。
【メッセージ】 浜松市の「バイオマス利活用推進協議会」や「森林・林業ビジョン策定委員会」等の各種委員を長年勤めてきた経験を活かせる思といます。関心をお持ちの自治体からの連絡をお待ちしています。

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2-3.東北マリンサイエンス拠点形成事業
【氏名・役職・所属】 宗林留美・講師・理学部
【内容】 海洋で栄養の循環を支える微生物とその栄養源となる有機物の分布と種類が、地震と津波によりどのように変化し、今後どのように変遷してゆくのかを明らかにすることで、三陸の漁業復興のために有用となる情報を整備することを目指します。
【現状】 7月に岩手県の大槌湾に視察に行きました。今後、共同研究者の一人として本格的な調査に参加します。
【メッセージ】 静岡は東北から遠く離れていますが、静岡にいる私達にしか分析できない項目を分析することで、東北の沿岸生態系の現状把握や環境予測に貢献できるように努めます。

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2-4.放射性セシウムの可溶化と結晶化による除染法の提示
【氏名・役職・所属】 露無慎二・特任教授・農学部
(併任:静大発ベンチャービジネス(株)Eu-BS取締役代表
【内容】 白金セシウムの可溶化と、可溶化後の濃縮の手法を開発したので、新しい除染法で根本的な解決を図るための研究を行っています。
【現状】 結晶化機構の解明と、現場(特に高汚染領域)での除染法の実施に向けた問題点の洗い出しを行っています。
【メッセージ】 現在の除染作業は比較的汚染の低い領域から始められており、高汚染領域は敬遠されています。これは、放射性セシウムが地表など多くの物質に吸着しており、可溶化する良い方法がなく、また、可溶化した後にこれを効率よく濃縮する方法がないからです。このため、現在は、除染作業で集められた集積物が閉校になっている小学校や中学校に山積みされているのが現状です。これでは、いつまでたっても安全安心の環境は戻って来ません。

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印刷用PDF:2.東日本大震災の復旧、復興のため、中長期的取組みに貢献できるものPDF