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静岡大学 社会連携シーズ

AI・IoT・ロボティクスを活用した次世代スマート農業システムの研究
不均衡・不完全なマルチモーダル時系列データを扱うAgri-XAI(農業Explainable AI)の研究

AI・IoT・ロボティクスを活用した次世代スマート農業システムの研究
不均衡・不完全なマルチモーダル時系列データを扱うAgri-XAI(農業Explainable AI)の研究

キーワード

スマート農業、知的IoTシステム、マルチモーダルAI、時系列データ解析、Explainable AI(XAI)、農業DX、画像解析、環境データ解析、農業ロボット

研究内容

 当研究室では、人工知能(AI)やIoT、ロボティクスなどの情報科学技術を農業分野へ応用し、熟練農家が長年の経験で培ってきた暗黙知(いわゆる「匠の技」)をデータとAIによって再現・高度化する研究を行っています。特に、農作物の生育過程では、画像・動画・環境センサーデータなど多様なデータが取得されますが、これらは欠損やばらつきが多く、必ずしも高品質とは限りません。本研究室では、このような不均衡・不完全なマルチモーダル時系列データから作物の状態推定や将来予測を行うAI技術の研究を進めています。さらに、AIがどのような根拠で判断したのかを人間が理解できるExplainable AI(XAI)技術を農業分野に適用した「Agri-XAI」の研究にも取り組んでいます。これにより、生産者がAIの判断を理解しながら活用できる農業支援システムの実現を目指しています。また、小型移動ロボットやセンサーネットワークを用いた自動データ収集とAI解析を組み合わせることで、作物の生育状況の可視化や栽培管理の最適化を実現する基盤技術の創出にも取り組んでいます。

社会連携に向けたアピールポイント

◆ Agri-XAI(説明可能な農業AI)による栽培支援
 当研究室では、熟練農家が経験的に行ってきた栽培判断をAIによって再現・高度化する研究を進めています。特に、AIの判断根拠を人が理解できるExplainable AI(XAI)を農業分野へ応用した「Agri-XAI(Agricultural Explainable AI)」の研究に取り組んでいます。例えば、草姿画像や温度・湿度などの環境データをAIに学習させることで、植物の状態を推定し最適な灌水タイミングを判断する技術を開発しました。Happy Qualityおよびサンファーム中山との連携実証では、AIによる灌水制御によって、高糖度トマト(平均糖度9.46、可販果率95%)の安定生産を実現しています。今後は、病害兆候や生育停滞の早期検知なども含めた栽培意思決定支援への展開を目指しています。

◆ UGV・センシングロボットによる作物生育計測(フェノタイピング)
 小型移動ロボット(UGV)や高精細カメラを用いて農地や施設を自動巡回し、作物の生育状態を継続的に計測するフェノタイピング技術の研究を進めています。ヤマハ発動機株式会社との連携では、屋外圃場で栽培されるワインブドウの多数の小さな花を高精度にカウントするAI技術を開発しました。夜間撮影された動画から暗所やぼやけた画像でも高精度な検出を実現し、従来約75%であったカウンティング性能を約90%まで向上させることに成功しました。本技術は、開花数、果実数、生育量などをロボットで自動観測する技術として、精密農業やスマート農業への応用が期待されています。

◆ マルチモーダル農業データ解析AI
 農業現場では、画像・動画・環境センサーデータなど多様なデータが取得されますが、欠損やばらつきが多く、必ずしも高品質とは限りません。当研究室では、このような「不均衡・不完全なマルチモーダル時系列データ」を統合的に解析し、作物の状態推定や将来予測を行うAI技術の研究を進めています。例えば、メロン表皮の360°映像から網目構造を解析し、深層距離学習とActivation Mapを用いて品質を定量化するAIを開発しました。株式会社大和コンピューターとの共同研究により、熟練生産者の等級判定を、約82%の精度で再現する品質評価AIを実現しています。本技術は食品や工業製品の外観検査にも応用可能です。

◆ 農業デジタルツインによる生育可視化と将来予測
 IoTセンサーやロボットで取得した生育データ、環境データ、画像データなどを統合し、作物や圃場の状態をデジタル空間に再現する「農業デジタルツイン」の研究を進めています。AIによる解析により、作物の生育状態の可視化や将来予測を行い、最適な栽培管理の意思決定を支援することが可能になります。施設園芸や露地栽培、植物工場など様々な栽培環境に適用可能であり、センサー・ロボット・AIを統合したスマート農業プラットフォームの構築を目指しています。

◆ AI育種支援による新品種開発の効率化
 静岡県農林技術研究所と連携し、AIを活用した作物育種支援技術の研究を進めています。育種では、個体ごとの形態や生育特性などの表現型評価を長期間にわたり観察する必要がありますが、従来は人手に依存する部分が多くありました。当研究室では、画像解析やロボット観測によって取得されたデータをAIで解析し、育種評価の効率化や品種選抜の高度化を目指しています。これにより、表現型評価の自動化やデータ駆動型育種の実現を通じて、新品種開発の効率化や育種期間の短縮に貢献することが期待されています。

(全体まとめ)
 当研究室では、AI・IoT・ロボティクスを統合し、栽培管理、フェノタイピング、品質評価、育種支援までを一体的に扱う農業情報基盤技術の研究開発を進めています。現場で継続的に取得されるマルチモーダル時系列データを活用し、説明可能なAI、農業デジタルツイン、育種支援AIなどへ展開することで、企業・自治体・試験研究機関との連携によるスマート農業の社会実装を目指しています。

SDGs目標

年度

2026~

関連URL

https://wwp.shizuoka.ac.jp/minelab/

教員氏名
峰野博史
フリガナ
ミネノ/ヒロシ
所属
学術院情報学領域
職名
教授
研究分野
  • 情報通信情報ネットワーク
e-mail
HP
https://tdb.shizuoka.ac.jp/RDB/public/Default2.aspx?id=10487