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静岡大学 社会連携シーズ

葉緑体の修復を行うFtsHプロテアーゼの機能解析
光合成反応を利用した有機太陽電池の開発

葉緑体の修復を行うFtsHプロテアーゼの機能解析
光合成反応を利用した有機太陽電池の開発

キーワード

光合成の修復系、タンパク質分解、有機太陽電池

研究内容

1.葉緑体の修復を行うFtsHプロテアーゼの機能解析
 カーボンニュートラルの進んだ社会では、製品を修理しながら長く使っていくことが大事になってきます。ただ実際には、製品のどこが壊れるかは分からないので、修理には手間と技術、つまりコストがかかります。この点を植物はうまいやり方で乗り切っています。光合成では、日中は電子がいつも流れていますので、通常であれば電子によって葉緑体のあちこちがランダムに損傷します。植物は、あえて弱点となる壊れやすい部分を光合成装置につくり、そこだけを修理すればよいという状態にしています。この修理を行うためのタンパク質が、私たちが研究しているFtsHとよばれるものです。
 植物のFtsHには、少し変わった性質が見られます。植物以外の生物のFtsHは、全て6量体となっています。しかし、植物のFtsHを大腸菌に生産させてみると、6量体に加えて単量体のFtsHがたくさんとれてきます。葉緑体の中には、他の生物と比較して、かなり複雑な膜の構造のチラコイド膜というものがあります。この細部に入るために、小さな単量体になる必要があると考えられます。植物には、他の生物に見られない性質がたくさんあります。これをタンパク質の働きから明らかしています。

2.光合成反応を利用した有機太陽電池の開発
 光合成装置から出て来る電子の検出は、鉄イオンなどを溶液にいれることで行います。鉄イオンが電子を受け取ると、溶液の色が変化するため、光合成の反応をとらえることができます。ある時、光合成による電子が鉄イオンに吸収されるなら、それを金属の電極で直接とらえられるのではないかと考えました。1年ほどかけて条件を探しましたところ、光を当てると電圧を発生する条件が見つかりました。これを有機太陽電池と言います。これはケンブリッジ大などでも研究が進んでおり、主に電池の長寿命化が目標です。有機太陽電池は、海洋や湖沼などに生息する植物プランクトンからも電力を得ることができます。現段階ではもう少し電極の工夫が必要ですが、原理的には植物プランクトンのいる池さえあれば、個人の家でも公園でも発電が可能ということになります。そして将来的には、海洋国家の日本にふさわしい電力資源になりうるものと考えています。

社会連携に向けたアピールポイント

◆特筆すべき研究ポイント
 目には見ることが出来ないタンパク質という物質の性質を分析することが研究テーマです。現在研究対象にしているFtsHは、上記に紹介した強光応答に加えて、欠損すると葉が斑入りとなる性質もあります。斑入りとは、緑色の葉の中に白色の模様が生じる表現型です。強光応答と斑入りという一見関係のなさそうなことの根底には、きっと両者を満足させる共通の原理があるはずです。これを見つけるのが理学の本質ということになりますが、この考え方は多方面に応用が可能です。理学的な考え方を通じて、産業や社会に研究を役立てて行きたいと考えています。

◆産業への応用
 タンパク質工学が生かせる産業。例えば、植物性代替タンパク質、タンパク質医薬品、バイオセンサー、バイオマテリアル、繊維、化粧品、温室効果ガスの削減など。また有機太陽電池の開発。

SDGs目標

年度

2026~

教員氏名
天野豊己
フリガナ
アマノ/トヨキ
所属
学術院理学領域
職名
准教授
研究分野
  • ライフサイエンス機能生物化学
HP
https://tdb.shizuoka.ac.jp/RDB/public/Default2.aspx?id=11058