ゲノム編集により高度透明化金魚の作出に成功しました

2024/05/31
プレスリリース

静岡大学創造科学技術大学院・バイオサイエンス専攻・徳元俊伸教授の研究グループは、ゲノム編集により透明金魚のさらなる透明化に成功しました。


【研究のポイント】

・白色素細胞形成遺伝子pax7bのゲノム編集により白色素細胞形成を阻害
・成魚における透明金魚の白色化を阻止し成魚でもより透明に
・体内の観察がより容易に



徳元研究室では以前の研究で点突然変異誘発物質ENUを用いて体内の臓器が観察できる透明金魚を作出していましたが、この系統では稚魚は完全に透明で体内組織の発達の様子が観察可能でも、成魚になると体色が白味を帯びて不透明に変化する問題がありました。
今回、ゲノム編集技術により白色素細胞の形成に必要であると推定されるpax7bという遺伝子に変異を導入したところ、白色素細胞の形成が見られなくなり、成魚でもより透明に変化しました。
樹立された系統は初期発生過程の研究や、卵巣や精巣などが観察可能であることから生殖生物学分野の研究に有用であると期待されます。

なお、本研究成果は、2024年5月31日(ロンドン時間午前1時)に、Springer Natureの発行する国際雑誌「Fish Physiology and Biochemistry」に掲載されます。


【用語説明】

pax7:
Paired-box7、ペアードボックスという遺伝子結合領域をもつ転写因子遺伝子ファミリーの7番目の遺伝子。
それぞれの遺伝子結合領域と合致した配列を遺伝子前方の遺伝子のスイッチとなる配列にもつ遺伝子群の転写(mRNAの合成)を誘導する。
Pax7は本研究成果も含め白色素細胞形成に必要な遺伝子群の転写誘導を行うことが示された。

【論文情報】

・掲載誌名:Fish Physiology and Biochemistry
・論文タイトル:
 Pax7 is involved in leucophore formation in goldfish and gene knockout improves the transparency of transparent goldfish
・著者:Takumi Mouri · Syunsuke Usa · Toshinobu Tokumoto
・DOI:10.1007/s10695-024-01364-z.

問い合わせ先:

【研究に関すること】
静岡大学創造科学技術大学院・バイオサイエンス専攻
教授・徳元 俊伸(とくもと としのぶ)
TEL : 054-238-4778
E-mail : tokumoto.toshinobu[at]shizuoka.ac.jp

【報道に関すること】
静岡大学 広報・基金課
TEL : 054-238-5179
E-mail : koho_all[at]adb.shizuoka.ac.jp

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