森田 健 准教授(理学部物理学科)と 東 武大 准教授(摂南大学)の共著論文が、日本物理学会「Progress of Theoretical and Experimental Physics」の注目論文“Editor’s Choice”に選出されました
森田 健 准教授(理学部物理学科)と東 武大 准教授(摂南大学)の共著論文が、日本物理学会が発刊する「Progress of Theoretical and Experimental Physics」の注目論文“Editor’s Choice”に選出されました。
■ 論文タイトル:
A Scaling Relation, Zm-Type Deconfinement Phases, and Imaginary Chemical Potentials in Finite Temperature Large-N Gauge Theories
【研究概要】
素粒子物理学における重要な研究分野の1つに1970年代に提唱されたラージNゲージ理論と呼ばれる理論があります。
この理論はこの世の中の「4つの力」の1つである「強い力」や、弦理論と密接に関係しており、これまで多くの研究がなされてきました。
今回の研究では、この理論の熱力学的な性質を解析し、2つの新しい発見をしました。
1つ目の発見は、この理論における物理量の温度依存性に、特殊な規則性があることを解明したことです。
この規則性をもちいることにより、これまで解析するのが困難であった多くの物理量の温度依存性を予言することが可能となりました。
2つ目の発見は、この理論の熱平衡状態に「虚の角速度」を与えることで新奇の相が複数存在することを明らかにしたことです。
「虚の角速度」自体は非物理的な量ですが、今回新しく発見した相から、「強い力」やブラックホールに関して多くの物理的な知見を得ることが出来ました。
今回の2つの発見は、弦理論や「強い力」の解析に容易に応用できることから、今後もこれらの分野の研究において多くの進展がなされることが期待されます。
【論文情報】
■ 掲載誌名: Progress of Theoretical and Experimental Physics, Volume 2024, Issue 9, September 2024, 093B03
■ 論文タイトル: A Scaling Relation, Zm-Type Deconfinement Phases, and Imaginary Chemical Potentials in Finite Temperature Large-N Gauge Theories
■ 著者: 東 武大 (摂南大)、森田 健 (静岡大)
■ DOI: https://doi.org/10.1093/ptep/ptae130
【研究助成】
本研究は、科学研究費補助金(20K03946)の支援を受けて実施されました。