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ニュースFM.Hi ゆうラジ!Radio魂内「静大スタイル」に本学第4期若手重点研究者が出演
第18回目は、農学部 崔 宰熏(チェ ジェフン)准教授が出演しました

2019.05.16

FM Hi「ゆうラジ!Radio魂(76.9MH)」内の「静大スタイル」のコーナーは、本学の公認サークル団体「CUE-FM放送研究会」が司会を務め、毎週木曜日夕方5時23分から5時53分まで放送している番組です。この番組は、私たちが学ぶ静岡大学の先生をより身近に!をコンセプトに第4期若手重点研究者に選定された教員に隔月で出演いただいています。

 今回のゲストは、農学部 崔 宰熏(チェ ジェフン)准教授で、5月16日(木)に生出演いただきました。

 崔先生の専門は、「天然物化学」、韓国・ソウル出身です。今回は、先生の研究内容から学生時代の話など、日頃大学では、聞くことのない内容にもお話いただきました。

▲フェアリーリングに関する研究について説明する崔准教授


▲ラジオ収録の様子

【1.研究内容を教えてください】
 私の専門研究分野は天然物化学です。
 天然物化学(英語:natural products chemistry)とは、生物が産生する物質を扱う有機化学の一分野です。主に天然物の単離、構造決定、合成、生合成を扱います。
 私は天然物化学的手法を用いて、菌類が産生する機能性物質に関する研究を行っています。多数の研究の中で一つを紹介します。
 フェアリーリングとは、輪状に芝生が繁茂したり、キノコが発生する現象の総称です。「妖精が輪を作ってその中で踊る」と伝えられてきたこの現象について、最初の科学論文が報告されたのは1675年のことです。330年間、妖精の正体(芝を繁茂させる原因)は謎のままでしたが、我々は神秘の謎に初めて化学のメスを入れ、遂にその妖精の正体を明らかにしました。その話をこれからします。
 フェアリーリング形成のメカニズムは未解明の部分が多く、これまでは、菌類が土中の蛋白質を分解し、植物に有効な窒素成分が多くなるため、芝草の成長が良くなるとされてきました。しかし、フェアリーリングを起こす菌が特異的な植物成長調節物質を産生する可能性を考え、その活性本体の探索を試みました。フェアリーリングを惹起するコムラサキシメジを選び、研究を開始しました。その形成菌から、妖精の正体(シバ成長促進物質)、2-アザヒポキサンチン(2-azahypoxanthine, AHX)を発見しました。AHXは試した全ての植物の成長を制御し、イネのcDNAマイクロアレイやRT-PCRの検討によって、この化合物は温度や塩などに対するストレス耐性をイネに与え、結果的に成長を促すと結論しました。その後、同じ菌からシバ成長抑制物質、イミダゾール-4-カルボキサミド(imidazole-4-carboxamide. ICA)を得ることにも成功し、さらにAHXは植物に取り込まれると、2-アザ-8-オキソヒポキサンチン (2-aza-8-oxohypoxanthine, AOH)に代謝されることを見出しました。その後、これら3化合物(以下、フェアリー化合物、fairy chemicals、FCs と総称)は調べた全ての植物にも内生していることを証明しました。さらに、FCsは圃場実験において、イネやコムギの収量を大幅に増加させました。これらの結果の一部はNatureに紹介されました(Mitchinson, A., Fairy chemicals, Nature, 2014, 505, 298)。
 フェアリーリングという未解明な生命現象を説明する分子群(FCs)をキノコから発見し、植物にも内生することを証明し、その生合成経路を明らかにしました。さらに、FCs が作物の増産に効果があることを明らかにしたのも、全て研究責任者らです。また、試した全ての植物の成長を制御し、植物に普遍的に内生し、共通なプリン代謝経路で生合成されていることを明らかにしました。このことは、FCsが新しい植物ホルモンである可能性を示唆し、植物ホルモンであることを証明するため、研究しております。


【2.これまでの研究で想定外の出来事があれば教えてください】
 私は植物に対する様々な化合物の成長調節活性を確認しています。活性試験をするためには化合物を栄養培地で溶かして植物に施用します。植物成長活性を試すには化合物の安定性が重要です。ある日植物成長調節物質であるAHXを栄養培地で50Lに溶かし数日間室温で保管したら、空気中からの微生物による分解(コンタミネーション)で培地の中のAHXが半分無くなってしまいました。つまり、AHXが代謝されAOHへに変換され、植物に与える試験は出来ませんでした。培地作りの失敗です。
 しかし、その失敗から新たな研究につながりました。そのコンタミネーションからAOHへの変換活性を持つ微生物を同定したところ、Burkholderia contaminansという菌でした。それまでにはAOHを作るためには反応収率が低く、しかも高価である酵素合成だけで行なわれたが、現在、その菌、生体触媒を用いてAOHを大量に合成しております。


【3.現在の研究のきっかけは何ですか】
 大学及び修士(韓国建国大学畜産学部畜産食品学科)課程においては、チャ種子とチャ細胞由来抗菌物質について研究してきました。私は2005年秋留学で静岡大学に入学しました。2005年10月以降は、研究生、博士課程学生、博士研究員、特任助教、助教、現在准教授として一貫してキノコの生体調節物質の有機化学的・天然物化学的研究を行ってきました。
 今日の研究が遂行できたのは静岡に来てからだと思っています。実際、フェアリーリングに関する研究は静岡大学キャンパス内においてコムラサキシメジよるフェアリーリング現象が観察されたことからです。昔から今日までも私のBOSSである河岸教授が私が留学1年前の2004年にその現象を観察し、2005年から私が今日まで研究している課題です。


【4.先生の研究は実生活のどんなことに役に立ちますか】
 フェアリーリングに関する研究はシバと深く関連があります。シバはイネ科植物であり、芝の生育をコントロールすることは人類の食料であるお米の生産をコントロールできることです。そのように農薬として認められるためには安全性などを明らかにしなければなりません。また、植物ホルモンであることを証明することで目指して研究しております。我々は、最終的には人類の食料問題の解決に貢献し、ノーベル平和賞のような価値がある研究をしております。誰もやってないことや発見することは天然物化学者として楽しいです。


【5.大学ではどんな授業をされていますか】
 学部では、農学部1年生の化学実験と、レポート作成方法とプレゼンテーションのスキルアップなどを学べる新入生セミナーを担当しております。2年生の応用生命科学実験を担当し、3年生は天然物化学、4年生の卒業論文研究の指導などです。大学院でも生物化学特論などと修士論文研究の指導をやっております。


【6.ゼミの様子を教えてください】
 文系と理系、学部、学科、研究室ことに違うと思いますが、我々の研究室は生物化学研究室で4人の先生で運営しております。キノコの研究を行なっております。天然物化学と木材化学です。生物化学研究室には36名学生が分属しています。研究室のコアタイムは朝9時から夜6時までで、活発な研究生活をやっております。楽しく学生と共に生活しております。


【7. 静大にはどんな学生に来てもらいたいですか】
 一つ目は海外留学生が来てほしいです。現在、大学院生も含めて、東南アジア諸国からは多いですが、韓国、ヨーロッパ、アメリカからはほとんどいません。グローバル化されて行くことを願っています。
 二つ目は探究心が強い人が来てほしいです。その人の特徴は、何かに興味を持って、少しでも疑問に持ったら自分が納得するまで徹底的に調べることで、現在の自分を乗り越えます。大学は4年、その後大学院2年、合計6年で勉強してほしいです。


【8. 趣味や近頃ハマっていることを教えてください】
 研究と繋がっています。フェアリーリング現象を探しに、家族と公園に行きます。公園には芝生があり、芝生にはその現象が現れる可能性が高いです。写真を撮ったり、周囲にキノコが発生しているかを観察します。


【9. 一曲リクエストしてください】

 曲名:You Raise Me Up

 アーティスト名:Westlife


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