FM.Hi ゆうラジ!Radio魂内「静大スタイル」に本学第4期若手重点研究者が出演 第20回目は、理学部 守谷誠先生 が出演しました

2019/11/26
ニュース

 FM Hi「ゆうラジ!Radio魂(76.9MH)」内の「静大スタイル」のコーナーは、本学の公認サークル団体「CUE-FM放送研究会」が司会を務め、毎週木曜日夕方5時23分から5時53分まで放送している番組です。この番組は、私たちが学ぶ静岡大学の先生をより身近に!をコンセプトに第4期若手重点研究者に選定された教員に隔月で出演いただいています。

 今回のゲストは、理学部 守谷誠先生 で、11月21日(木)に生出演いただきました。

【1.先生の研究のテーマは何ですか?】
 分子を使った新しい電池材料の開発(蓄電池と燃料電池向けの材料開発)をテーマとしています。

【2.具体的な研究の内容を教えてください】
 固体の中をリチウムイオンが高速に拡散できる電解質材料の開発、貴金属を使わずに燃料電池を動作させる新しい触媒の探索をしています。

【3.研究の手順を教えてください】
 始めに、機能発現の鍵になる構造を推定し、その構造を再現できるような化合物を頭の中で考えます。そして、考えた化合物を、いろいろな分子を組み合わせて反応させます。それから、合成した生成物の物性を評価し、特性に優れる点や劣る点を明確にし、より良い材料を作るための方針を立てます。そこまできたらまた始めに戻り、繰り返していきます。 

【4.研究を行うきっかけは何ですか?】
 錯体化学という分野を専門に博士号を取りましたが、助教になった際は無機固体化学という自分にとっては未経験の分野に携わることとなりました。右も左もわからない状況で仕事を始め、もがきながらも成果を出しましたが、いずれは自分にしかできない研究をしたいと考えていました。そのなかで、錯体化学と無機固体化学の考え方を融合させて、材料開発に生かそうという考えで着想したのが今の研究テーマです。

【5.先生の研究によって何が分かったり、解決するのでしょうか?】
 私の研究は電池を対象にした材料開発の基礎研究です。営利機関ではない大学で、しかも人員的にも資金的にもさほど大きくはない研究グループでやるべき研究は何かということを考えています。基本的には、既存材料の改良よりも全く新しい材料の開拓をしたいです。
 そのために、従来は電解質として見込みは無いと考えられていた領域にあえて着目し、新材料・新物質の開発を行ってきました。その結果、固体電解質としての新たな可能性を秘めた物質を見つけることに成功しています。この研究が進展すれば、既存の固体電解質の課題を克服することが可能な新しい電解質材料の開発につながると考えています。さらに研究が発展すれば、蓄電池の革新にもつながると期待されます。

【6.現段階での研究の障害(大きな壁)はありますか?】
 今のところ、最も重要な物性はイオン伝導度を高めること。固体の中でイオンをより速く動かせる材料を作り出すことが今の最重要課題です。ただし、多くの研究と同じように、私たちの材料開発も、なにか大きな壁が一つあって、それが解決できれば良いという単純なものではありません。
固体電解質であれば、イオン伝導度だけではなく、電圧や熱に対する安定性、材料の安全性、電池の作りやすさ、量産性、コストなど数多くの要求があります。実際には、そのすべてを完璧に満たすものは無いので、これらを実用に適した形で満足する材料を得ることが重要です。こういった要求に応える材料を得るには、無暗に試行錯誤するより、物性の起源となる要素を明確にすることが近道だと思っています。基礎を重視した材料開発を行い、目的とする物性を示す材料を得るための指針を構築することが重要です。

【7.今後の目標は何でしょうか?】
 まずは、世界最高水準のイオン伝導性を示す固体電解質材料の開発です。

【8.先生の趣味は何ですか?】
 ドライブと読書、それから子供と遊ぶことです。

【9.学生時代の思い出を教えてください 】
 学生結婚をしたことです。

【10.大学生のうちにやっておくべきことは何でしょうか?】

 自分が納得あるいは満足できる大学生活が送れるよう、やるべきことは各自で探せばいいのではないでしょうか。これをやっておけば良いというような正解は無いと思います。

【11.曲のリクエストをお願いします】

 レキシ 『狩りから稲作へ』

▲研究について説明する守谷講師

▲研究について説明する守谷講師

▲ラジオ収録の様子

▲ラジオ収録の様子

JP / EN