AIの判断に基づく灌水制御によって高糖度トマトを高い可販果率で生産成功

2020/02/05
プレスリリース

 国立大学法人静岡大学(所在地:静岡県浜松市、学長:石井 潔、以下、静岡大学)、株式会社Happy Quality(本社:静岡県袋井市、代表取締役社長:宮地 誠、以下、Happy Quality)は、AI(人工知能)の判断に基づく灌水制御によって高糖度トマトを高い可販果率で生産することに成功しました。

 トマトなどの植物では、栽培過程で適度な水分ストレスを付与することで高糖度な果実を栽培できることが知られていますが、緻密な灌水制御を必要とするため熟練農家の匠の技の結晶でした。静岡大学情報学部峰野研究室では、2017年度に、植物の水分ストレスは植物のしおれ具合から把握できると仮定し、低解像度の草姿画像と、温度、湿度、明るさという比較的収集の容易なデータを使用して、植物の茎の太さ(茎径)の変化量を高精度に予測するAIの研究開発に成功しました。2018年度に、Happy Qualityとの共同栽培実験で、AIの判断に基づく灌水制御によって高糖度な中玉トマトを低負担かつ大量安定生産できることを実証しました。本年度、さらなる研究開発と実証実験(図1)の結果、AIの判断に基づいた灌水制御では平均糖度9.46の高糖度トマトを、バラつきを抑えて容易に栽培できることが示されました。また、急な天候変化に追従した適切な灌水制御によって、従来の日射比例による灌水制御に比べ果実の裂果を大幅に減らし、高糖度トマトを高い可販果率(95%)で生産できることも確認できました(図2)。

 今後、IoTデバイスの教育教材化を進めていくだけでなく、本技術の実用化を目指し、静岡大学発ベンチャーとして起業したアグリエア㈱や関心のある企業と連携し、長年の経験と勘に基づいて習得したノウハウの効率的な継承や、AIとの協働による負担軽減、持続可能な地域社会の実現を目指していきます。


図1 栽培実験の様子




図2 中玉トマト低段密植養液栽培実験の結果

【本件に関する報道機関からのお問い合わせ先】

静岡大学 情報学部 峰野博史
TEL: 053-478-1491
E-mail: mineno[at]inf.shizuoka.ac.jp

静岡大学 総務部 広報室
TEL: 054-238-5179
E-mail: koho_all[at]adb.shizuoka.ac.jp

株式会社Happy Quality
広報担当 坂井
TEL: 050-5213-7333
E-mail: sakai[at]happy-quality.jp

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