令和3年度静岡大学入学式を挙行しました

2021/04/06
学長メッセージ

 令和3年4月4日(日)にグランシップ 大ホールにおいて、令和3年度静岡大学入学式を挙行しました。
 今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、入学式への出席を各学部・研究科等の入学生代表及び役員・部局長等のみに限定し、出席できない入学生、保護者の方のためにライブ配信を実施しました。

 式に先立ち、静岡大学混声合唱団による静岡大学学生歌「われら若人」と「ぜんぶ」の合唱があり、続いて静岡大学吹奏楽団から「セドナ」と「宝島」が演奏され式典に華を添えました。
 式では、日詰 一幸学長から、学部生2,019名(編入学生を含む。)、大学院生625名の新入生に対して、入学が許可され、「従来の常識に縛られることなく、自由に物事を発想し、柔軟に対応していく力を学生生活の中で培うとともに、自分自身がこれまで経験したことのないことにも「挑戦」してほしいと願っています」との式辞がありました。
 続いて、新入生を代表して、農学部生物資源科学科 瀧田 萌さんと大学院教育学研究科教育実践高度化専攻 守屋 太雅さんからそれぞれ、静岡大学での新たな第一歩に向けて力強い宣誓が述べられました。
 また、大学院総合科学技術研究科理学専攻の苅米 倭さんから入学生への歓迎の言葉として、大学での学び、課外活動等について先輩講話をいただきました。

令和3年度静岡大学入学者数

○学部(学士課程)
人文社会科学部   435名
教育学部      303名
情報学部      250名
理学部       236名
工学部       549名
農学部       195名
地域創造学環     51名
      計 2,019名
※人文社会科学部、情報学部、工学部、農学部には編入学生を含む。

○大学院(修士課程)
人文社会科学研究科  40名
総合科学技術研究科 514名
        計 554名

○大学院(博士課程)
教育学研究科      4名
光医工学研究科     3名
自然科学系教育部   26名
         計 33名

○大学院(専門職学位課程)
教育学研究科     38名
         計 38名

 合計 2,644名

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令和3年度入学式学長式辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、ご家族の皆様にも、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。

 静岡大学は今年度、学部学生1,991人、編入学28人、大学院修士課程554人、大学院博士課程33人、専門職大学院教育実践高度化専攻38人の合計2,644人の新入生をお迎えすることができました。全学の教職員を代表致しまして、皆さんのご入学を心より歓迎致します。

 本来ならば、新入生の皆さんが一堂に会して入学式を行うべきところ、新型コロナウイルスの感染状況が、未だ収束の域を見通すことができないため、今年度は各学部・研究科の代表の皆さんにご出席いただき、その他の新入生の皆さんやご家族の皆様はオンラインで視聴していただくという形で入学式を行っています。新入生の皆さんが新型コロナウイルスに感染することがないよう予防の観点から、このような形態で入学式を行っておりますことをご理解下さいますようお願い致します。

 さて、皆さんもご存じのように昨年1月に日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されましたが、その後しばらくして日本国内でも、そして世界でも感染が拡大していきました。そのため、昨年は本学でも大学にとって重要な行事である令和元年度の学位記授与式と令和2年度の入学式を中止せざるをえませんでした。さらに、昨年4月における緊急事態宣言の発出に伴い、授業の開始を遅らせたばかりでなく、緊急事態宣言解除後も、ほとんどの授業を対面ではなく非対面で実施しました。このような事態は私たち教職員も学生の皆さんも初めてのことで、いろいろな試行錯誤はありましたが、何とか前学期の授業を終え、さらに後学期からはこれまでの経験を生かして、密集、密接、密閉という「三密状態」を避け、またマスクの着用や手指消毒を促すといった感染予防を施したうえで、対面の授業を増やすことができました。そして、今年度の前学期では昨年同様の対応を基本としますが、可能なかぎり対面授業を増やすという方針でおります。

 新入生の皆さんは、これから始まる学生生活に対して、それぞれに多くの期待や希望を抱いて本日を迎えたことでしょう。今後、新型コロナウイルスの感染状況が収束に向かっていくのであれば、いろいろな制約が解けて、皆さんは自由に思い思いの活動を行っていくことができるようになるでしょう。今しばらくは我慢せざるを得ないかもしれませんが、私たち教職員一同、皆さん一人一人が楽しく豊かな学生生活を始めることができるように力を尽くして行きたいと考えています。

 ところで、私たちは今、21世紀という時代に生きています。新入生の皆さんの多くは20世紀末から21世紀にかけて生を受けた方々です。20世紀において、科学技術の発展によって私たちの生活に大きな変革がもたらされましたが、21世紀に入って以降、科学技術の進歩発展の速度はさらに加速しているように見受けられます。特にIOTやAIという言葉と関わる情報通信技術は長足の進歩を遂げており、その発展の速度には目を見張るものがあります。私たちはそのような科学技術の進歩発展によって、多くの利益を享受していると言っても過言ではありません。そのような科学技術の発展に支えられ、今回のコロナ禍の中にあっても遠隔授業をはじめとして、いろいろな形態の授業を経験することができましたし、日本あるいは世界の大学教員間のコミュニケーションも図られ、様々な交流を経験することができるようになりました。つまり、21世紀は時間や空間が20世紀以上に収縮していく可能性を秘めていると思います。皆さんは、このような時代に大学という場で学び、自らを成長させていく機会を得ることになるのです。

 21世紀に生きる私たちの前には、解決策を見いだしにくい難問が数多く横たわっています。そして、この時代はそのような難問に対する解決策を提示してくれる人々を待ち望んでいるという側面もあります。このような時代にあっても、皆さんは大学という場で自由に自身の学びを展開することができます。つまり、大学というところは皆さんが自身の問題関心に沿って自由に物事を探求し、そのような探求という営みの中から得られたことを一定のルールのもとで自由に発信することができる場です。そして、「何のために研究するのか」あるいは「世の中にどのように役に立つのか」ということをとやかく言われることなく、むしろ「探求する」という行為こそが評価され、さらに私たちの創造的な探求という営みにこそ価値が置かれる場であると言えます。そのような観点からすれば、経済的効率性という物差しでは到底はかることのできない価値を生み出す場なのかもしれません。つまり、ある時に「役に立たない」とみられていた研究や取り組みが、その後の社会の変化の中で大きく評価を受けるといったことも起こりうるのです。皆さん一人一人の物事に対する「探求」が重視される大学という場において、皆さんに自覚しておいてほしいことがあります。それは、「能動性」ということです。皆さんはこれまで、皆さんを教え導く先生方の声や促しに従って歩んでこられたのではないでしょうか。ある面で、皆さんは学校という「囲い」の中で時間を過ごしてきたわけですし、その「囲い」の中から発せられる声に自らを任せてきたのかもしれません。しかし、大学という場においては、その「囲い」がなくなります。ある面で皆さんは自由になったと感じるかもしれませんが、一方において皆さんは、自分自身で自らを律していかなければならない環境に身を置くことになるのです。従いまして、皆さん一人一人の学びのスタイルも自ずと変わらざるをえません。つまり、様々な現象に対して問題意識を持ち、自ら課題を設定して解決策を見つけようとする姿勢が大切になります。そして、そのような姿勢で物事を探求する時に大切なことは、皆さん自身が「私は文系だから」とか「自分は理系だから」といったレッテルを張ってしまい、狭い専門領域に自らを位置づけてしまうのではなく、より広範囲に知的関心を広げ、横に広がっていく学びを経験することも大切であるということです。そのような営みがあってはじめて、皆さん自身の専門が生きていくはずです。そのような学びは、静岡大学のような総合大学であるからこそできる学びの醍醐味だと言えます。

 大学では、今申し上げた学びの姿勢とそこから得られる喜びや達成感の他に、今のところ、新型コロナウイルスの感染予防という制約はありますが、人との交流によって得られる充実感を体験することができます。静岡大学には学部と大学院合わせて、1万人を超える学生が学んでいます。本学に在籍する学生は静岡県内出身者ばかりでなく、東海地区をはじめ全国各地から集まっています。このような環境の中で皆さんは、これまで出会ったことのないような人と出会うことでしょう。そのような出会いは皆さんの人生にとってとてもかけがえのない経験となるはずです。これから皆さんには、同級生との新たな出会いばかりでなく、ゼミや研究室での学び、さらにはサークルや部活動を通した先輩との出会い、そして皆さんの身近で大学生活を支える教職員との出会いなど、様々な出会いが沢山あるはずです。皆さんはそのような方々との交流の中から多くのことを学び、気づきを得る機会を持つことができます。自分とは異なる体験を持つ人との交流、そして自分と異なる能力や才能を発揮する人との交流、そしてまだ出会ったことがない「すごいと思う人」との交流、このような交流の機会が皆さんのこれからの学生生活の前に開かれています。そして、本学には、アジアの国々ばかりでなくアフリカ、北米、南米、ヨーロッパ諸国からも多くの留学生が学んでいます。そのような留学生との交流では、言葉が一つの壁になるかもしれませんが、臆せずに皆さんが口を開いて意思疎通を図って下さい。そうすることにより、皆さんは異なる言語を話し、違う文化の中で育った人との有意義な交流を果たすことができるはずです。是非そのような出会いと交流を大切にして下さい。そのことが、やがてグローバル化の進む現代を生きる皆さんにとって大きな財産となることでしょう。

 人との交わりの中にあって私は皆さんに期待したいことがあります。それは、皆さんとは異なる考え、意見や主張を持つ人との交流も大切にしてほしいということです。時として、そのような人とは仲たがいをしてしまいがちですが、そうではなく、自分があまり聞きたくない意見を言ってくれる人の言葉の中にも、実は自分自身が学ぶべきことがあるということを知っておいて下さい。そして、多様な意見や主張に耳を閉ざすのではなく、耳を傾けるという姿勢を大切にしてほしいと思います。

 そして、さらに私自身が皆さんに期待したいことは、皆さんの学生生活が自らの殻を打ち破る「挑戦」であってほしいということです。今まで皆さんはある面で受動的に物事に向き合ってきたのかもしれませんが、これからは皆さん自身が自らの創造力を働かせて様々な事柄に対応していくことが大切だと思います。その際、心にとめておいていただきたいことは、従来の常識に縛られることなく、柔軟性をもって対応するということです。私たちがこれから生きていく時代は、先人たちが築き上げてきた「通り一遍のマニュアル」ですべてのことがうまく運ぶとはいえない時代だと思いますし、物事はさらに多様化し複雑化していくはずです。そのような時代であるからこそ皆さんには、自由に物事を発想し、柔軟に対応していく力が求められることになりますが、そのような力を学生生活の中で培うとともに、自分自身がこれまで経験したことのないことにも「挑戦」してほしいと願っています。

 これから皆さんが学ぶこの静岡県は、豊かな自然環境に恵まれ、さらに多くの人々を魅了する歴史文化が根付いている地です。このような優れた環境の中で、皆さんが生き生きと学生生活を送ることができるように心から願っています。改めまして、本日はご入学誠におめでとうございます。以上を持ちまして私からの挨拶とさせていただきます。

令和3年4月4日
静岡大学長 日詰一幸

【写真:左より】
・日詰学長から、入学生へ式辞がありました
・学部入学生代表者 農学部の瀧田 萌さんから入学生宣誓がありました
・大学院入学生代表者 教育学研究科教育実践高度化専攻の守屋 太雅さんから入学生宣誓がありました
・大学院総合科学技術研究科1年生(本学理学部卒業生)の苅米 倭さんから先輩からの歓迎の言葉がありました

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