学長就任にあたって ―未来への懸け橋となる静岡大学をめざして―

2021/04/01
学長メッセージ

 現在、静岡大学をはじめとする国立大学をめぐる環境が大きく変化をしています。特にデジタル化やグローバル化の進展、Society5.0の到来等、知識集約型社会へと社会・産業構造の転換が進みつつあります。また、少子高齢化の進行や人口減少、一極集中による地域の活力低下、さらには新型コロナウイルス感染症への対応など様々な課題が顕在化してきました。このような状況の中、国も一極集中から地方の活性化を視野に入れた「地方創生」の取り組みを進めています。それに合わせて、地域が抱える課題を解決するため、「知と人材の集積拠点」である地方大学にしか果たせない役割に期待が寄せられるようになりました。

 このような地域の期待に応えるため、静岡大学はこれからも「自由啓発・未来創成」という基本理念を継承・発展させるとともに、多様性、柔軟性、創造性を重視した大学運営・経営を心掛け、未来を切り拓く教育研究を進めるために力強く前進していきたいと思います。

 一方、これから日本の大学が直面する大きな課題の一つとして18歳人口の減少が挙げられます。例えば、2040年の18歳人口は88万人と予想され、現在より30万人ほど減少することになります。しかも、18歳人口の減少に伴い大学進学者数も減少します。そこで、本学でもそのような状況に対応するため、教育研究機能の一層の強化を図り、魅力を高める取り組みを今から進めていかなければなりません。そのために現状をどの様に変革し、地域ならびに日本、そして世界を視野に入れた静岡大学に成長発展させていくために今何をなすべきか、その方策も検討していきたいと考えています。


◇ 個別課題への取り組み

浜松医科大学との法人統合・大学再編について
再編に関して賛成と反対の双方の意見があり、未だ一致点を見いだせていないという状況。そこで、「地域の発展に貢献し、大きな役割を果たす大学」という視点から、再編に関する検討や議論を継続するとともに、教職員や学生を交えた対話の中で意見集約をし、地域の理解を得ながら、最終的な着地点を見いだす。


キャンパス・ダイバシティの推進
ジェンダー、国籍、世代、障害の有無など、異なるバックグラウンドをもつ多様な学生や教職員が共に学び、共に働きやすいキャンパスの構築をめざす。


教育面での取り組み
デジタル化やグローバル化の進展、Society5.0の到来といった社会の潮流を踏まえ、総合大学としての優位性を発揮した取り組みを進める。
→新学部構想、大学院教育改革(学部―修士一貫教育体制、修士―博士一貫教育等)、デジタルを活用した教育の推進、文理横断・異分野融合教育のあり方の検討(例えば、Steam教育)、地域をフィールドとした実践的教育プログラムの充実(中核としての「地域創造学環」)、リカレント教育の推進、教育成果の評価・改善と「教育の質保証」の取り組み、「大学等連携推進法人」(仮称)を活用した他大学との教育連携の可能性検討、等


研究面での取り組み
多様な研究を通して地域社会の発展に貢献するとともに、本学の研究上の特色と強みである研究を一層発展させ、世界的研究拠点の形成をめざす。
→医工連携、光応用工学分野、環境・エネルギー、グリーンバイオ科学、CNF、防災・減災研究、地域の社会・文化・歴史研究、2研究所(「電子工学研究所」「グリーン科学技術研究所」)の発展可能性の検討、等


社会連携・産学官金連携の推進
地域ニーズの把握、地域社会との共創による課題解決の取り組み、産学官金連携の取り組みを進める。
→「未来社会デザイン機構」の役割発揮、SDGsや脱炭素社会等の取り組みへの参画、「地域連携プラットフォーム」構築の検討、共同研究・受託研究の推進、外部資金獲得戦略の検討、等


グローバル化への対応と人材育成
グローバルな視野をもつ人材育成、地域の国際化拠点形成に取り組む。
→ABPの評価と今後の方向性検討、英語教育プログラムの評価と今後の展開可能性検討、海外大学との連携推進(オンライン授業を含む)、留学生受入・学生の留学支援、留学生の就職支援、等


働き方改革の推進
教職員のワークライフバランスが実現できる働き方の推進、等


令和3年4月1日
国立大学法人静岡大学長
日詰 一幸


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