1974年7月洪水(七夕豪雨)の浸水深データのデジタル化ならびに 2022年9月洪水との自然的条件・浸水深の相違について
静岡県清水低地を流れる巴川は洪水被害を頻繁に起こし、1974年7月の七夕豪雨では、床上・床下浸水26,156棟、浸水面積2,584haの被害を出しました。
この被害を受け、巴川の治水事業が行われ、1998年に大谷川放水路が完成・供用されました。
しかし、2022年9月24日の台風15号に伴う大雨で巴川とその支流の一部で越水が起き、床上・床下浸水が発生しました。
本研究では、今後の巴川の洪水被害の軽減の基礎資料として、七夕豪雨の洪水と2022年9月洪水との自然的条件―地盤変動と潮位―の相違を示します。
また、紙媒体で、静岡県静岡土木事務所に保管されていた七夕豪雨の洪水痕跡の表示板の位置と浸水深のデータを電子化しました。
このデータと2022年9月の洪水の浸水深の差を調べたところ、地域差があることが明らかになりました。
これらの成果は「静岡大学地球科学研究報告」に報告しています。
【本研究成果の社会的意義】
フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地盤沈下と温暖化による海水準上昇により、清水低地の洪水リスクの上昇は今後も続くと予想されます。
1974年7月洪水と2022年9月洪水の浸水深との比較から、豪雨時の清水低地の洪水に関しては、潮位のタイミングに特に留意することが必要であることが分かり、潮位データから2024年度までの洪水の起きやすい休日の予測が可能となります。
【論文情報】
題名:1974年7月洪水(七夕豪雨)の浸水深データのデジタル化ならびに2022年9月洪水との自然的条件・浸水深の相違について
誌名:静岡大学地球科学研究報告、 50号.
オンライン公開 http://akihisakitamura.la.coocan.jp/Tanabata%20flood.pdf
著者:北村晃寿1, 2・三井雄太1, 2
1:静岡大学理学部地球科学科、2: 静岡大学防災総合センター
問い合わせ先:
静岡大学理学部地球科学科・防災総合センター
教授 北村 晃寿
TEL:054-238-4798
E-mail:kitamura.akihisa[at]shizuoka.ac.jp
※[at]を@に変更してご利用ください。