令和6年度静岡大学入学式を挙行しました

2024/04/05
ニュース

令和6年4月4日(木)にグランシップ 大ホールにおいて、令和6年度静岡大学入学式を挙行しました。


式に先立ち、静岡大学混声合唱団による静岡大学学生歌「われら若人」と伊藤 玲子作詞「今、ここに」の合唱があり、続いて三田村 健氏の指揮により、静岡大学吹奏楽団から「Flight」と「宝島」が演奏され式典に華を添えました。

式では、日詰 一幸学長から、学部生2,041名(編入学生を含む。)、大学院生707名の新入生に対して、入学が許可され、「皆さんが静岡大学を新たなことへの挑戦の場と位置付け、何に対しても常に能動的で、自らの想像力を発揮し、柔軟性をもって学生生活を送られることを期待しています。」との式辞がありました。

最後に、新入生を代表して、教育学部学校教育教員養成課程の新谷 陸さんから静岡大学での新たな第一歩に向けて力強い宣誓が述べられました。
 
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これからの大学生活をともに活気ある有意義なものにしていきましょう。


*下記URLよりライブ配信のアーカイブ動画をご覧いただけます。(4月12日まで公開予定)
https://youtube.com/live/exjgYW-6fNU?feature=share
 
令和6年度静岡大学入学者数
○学部(学士課程)
人文社会科学部    424名
教育学部       267名
情報学部       241名
理学部        238名
工学部        566名
農学部        190名
グローバル共創科学部 115名
       計 2,041名
※人文社会科学部、情報学部、工学部、農学部には編入学生を含む。

○大学院(修士課程)
人文社会科学研究科  33名
総合科学技術研究科 587名
山岳流域研究院     7名
        計 627名

○大学院(博士課程)
教育学研究科      5名
光医工学研究科     5名
自然科学系教育部   22名
         計 32名

○大学院(専門職学位課程)
教育学研究科     48名
         計 48名

     合計 2,748名

日詰学長から、入学生へ式辞がありました

日詰学長から、入学生へ式辞がありました

入学生代表者 教育学部の新谷 陸さんから入学生宣誓がありました

入学生代表者 教育学部の新谷 陸さんから入学生宣誓がありました

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令和6年度 入学式式辞
 
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、ご家族・保護者の皆様にも、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。

静岡大学は今年度、学部学生2,020人、編入学21人、大学院修士課程627人、大学院博士課程32人、専門職大学院教育実践高度化専攻48人の合計2,748人の新入生をお迎えすることができました。ここに教職員を代表致しまして、皆さんのご入学を心より歓迎致します。

昨年の入学式は新型コロナウイルスの感染予防に配慮するということから、午前と午後の二部制で行いました。しかし、昨年5月8日以降は新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことにより、今年の入学式はコロナ前の状態に戻して行うことができました。私たちは、本日こうしてまばゆいばかりの皆さんの姿に接することができますこと、そして皆さんの静岡大学への入学を多くの方々とお祝いする機会を持つことができましたことを、とてもうれしく思っています。

思い起こせば2020年からの3年余りの期間は、未知のウイルスとの闘いであったと思います。しかし、世界中の研究者が英知を結集して、新型コロナウイルス感染症克服のために様々な取り組みを進めてきましたが、今やその努力が実を結び世界中で脅威となっていた感染症の克服にも見通しがついたのではないかと感じています。

、これから皆さんは静岡大学で大学生としての生活を始めようとしています。そして、新たに始まる学生生活に大きな期待を膨らませておられることでしょう。皆さんはこれからご自身が選択した学部や研究科に所属し、自らの問題関心に沿って学びを深めて行くことになります。私は最初に皆さんの学生生活において多くの割合を占めるであろう、大学での学びについて少し触れてみたいと思います。皆さんはこれから、これまでの受験勉強から離れ、真の学問の世界へと身を投じることになります。そして、自分が学びたいことを思う存分学べるということに大きな喜びを感じておられるのではないでしょうか。大学における学びは皆さん自身の関心や目的に基づいて、その内容を決めていくことができます。大学は皆さんの問題関心に基づいて、自由に物事を探求し、そのような営みから得られたことを一定のルールに基づいて自由に発信することができる場です。そして、大学では物事の真理に近づくため、「探求」するということが評価され、それも皆さんの創造力を生かした探求こそが重視されるのです。これからの皆さんの学びの中にあって、ぜひ文系や理系という枠を取り外し、様々な学問分野の学びに挑戦していただきたいと思います。つまり、従来の学問間の境界を乗り越えて学びの幅を広げていただきたいということです。
私は最近、このような学び方を肯定的に捉えた新聞の社説を目にしました。その社説には、「温暖化やデジタル化、先進医療の進化といった現代社会が直面する課題は、テクノロジーの進展が新たなリスクを生み、複雑になっている。解決策を探り出し、イノベーションに結びつけるには、物理や化学、生物など自然科学系の知見だけでは不十分だ。ここで注目されるのが経済学、社会学といった新たな価値を創出する人文・社会科学系の知見だ。扱い方を誤ると人類や文明を脅かす存在となる人工知能(AI)やゲノム編集などのテクノロジーと上手に付き合うには、倫理学や哲学からの視点も求められる」と記されていました(日本経済新聞2024年3月10日朝刊)。まさに今の時代が要請しているのは、文理横断型の「総合知」を獲得する学びであると思います。ぜひ、皆さんが本学でこのような学びを進めていただきたいと思います。

学士課程に入学された皆さんは、特に最初の一年間は専門科目よりも教養教育の科目を多く学ぶことになります。これらの科目には語学も含まれ、高校までの延長だと受け止める人も多く、「何のために学ぶのか」と疑問を持つこともあるかもしれません。ある面で、教養教育での学びは実用的なことの学びを重視する人からすれば「役に立たない」という捉え方をされることがあるかもしれません。しかし、「人間は実用的な目的のためだけに生きているわけでありません」(『教養の再生のために』影書房、2005年、13頁)。では、なぜ大学教育の中で、このような科目が用意されているのでしょうか。シカゴ大学名誉教授で日本文学が専門のノーマ・フィールドさんは、『オックスフォード英語辞典』を参照しながら、リベラルアーツとされる教養教育の目的について、次のように述べています。つまり、「全般的な知性の拡充と洗練をめざし、技術的もしくは専門的訓練のために必要に狭く限定されない」学び、それが「教養教育」であるとしています(『祖母のくに』みすず書房、2000年、84頁)。フィールドさんが私たちに伝えたいと思っていたことは、これから大学という場で学ばれる皆さんが自立した一人の人間として成長していくにあたり、その基盤となるのが「特定の目的に縛りつけられない」学びの機会であり、そのような学びこそが大学で学ぶことの意義であるのではないか、と私は考えています。
さらに、評論家でもあり作家でもあった加藤周一氏は教養教育を学ぶ意義を次のように述べています。「専門化が進めば進むほど、専門の境界を越えて動くことのできる精神の能力が大事になってくる。その能力を与える唯一のものが、教養なのです。だからこそ科学的な知識と技術・教育が進めば進むほど、教養が必要になってくる」と(『教養の再生のために』影書房、2005年、112頁)。教養教育を学ぶことは、皆さんが今後様々な領域で専門の学びを深めていくにあたり、その学びの基礎を形成するとともに分野を超えて総合的な思索を養ってくれるものではないかと思います。そして、文系や理系という枠を越えた様々な基礎的な学びも大切であるということを、皆さんに知っていただきたいことの一つです。このことは大学院で学ぶ皆さんにも言えることです。大学院では、学士課程での学びの上に立ち、その専門的な学びをさらに深めていく場ですが、その際、一つの専門領域にとらわれず、ぜひ広く他の領域で蓄積された知に触れ、思索の幅を広げていってください。
本日、静岡大学に入学された皆さんは、好きなことを好きなだけ学ぶことができる自由な環境の中に身を置いています。ですから、皆さんは本学で自由に学びの幅を広げていくことができます。世の中で起こっている様々なことにも問題意識をもち、物事を探求する姿勢こそ大学生としての学び方であるはずですし、皆さんができる限り知的関心を広げて学んでいってほしいと思います。そして、これまでの自身の学びのスタイルを見直し、まさに学びの醍醐味をこの静岡大学で味わっていただくことを願っています。

私はこれまで、大学での学びについてお話してきましたが、皆さんの学生生活が豊かになるためには、学びの他にもいろいろなことがあると思います。
次にお話ししたいことは、皆さんが学生生活において出会う多くの人々と良い関係を築いてほしいということです。静岡大学には、学部と大学院を合わせて1万人を超える学生が学んでいます。本学に在籍する学生は静岡県内出身者ばかりでなく、全国各地から集まっています。このような環境の中で皆さんは、これまで出会ったことのないような人と出会うことでしょう。そのような出会いは皆さんにとってかけがえのない経験となるはずです。これから皆さんには、同級生との新たな出会いばかりでなく、ゼミや研究室さらにはサークルや部活動を通じた先輩との出会い、そして皆さんの身近で学生生活を支える教職員との出会いなど、様々な出会いがあるはずです。皆さんはそのような新たな出会いの中から多くのことを学び、気づきを得る機会を持つことができます。自分とは異なる経験を持つ人との交流、そして自分とは異なる能力や才能を発揮する人との交流、そしてまだ出会ったことがない「すごいと思う人」との交流、このような交流の機会が皆さんのこれからの学生生活の前に開かれています。まずは皆さんが受け身になるのではなく、ぜひ自らの心の扉を開け放ち「口を開いて」、これまで出会ったことのない人との出会いを大切にしていただきたいと思います。そのような出会いは、同級生だけではなく、ゼミや研究室、サークルや部活動、さらにはそれぞれのキャンパスを越えた活動を通していろいろな機会があるはずです。場合によっては、皆さんの生涯に影響をもたらす同級生、先輩、教職員との出会いもあると思います。そのような人との交流や語らいは皆さんのこれからの人生にとっても大切な機会になるはずです。ぜひそのような機会を大切にして下さい。また、本学にはアジアの国々ばかりでなく、アフリカ、北米、南米、ヨーロッパ諸国からも多くの留学生が学んでいます。そのような留学生との交流は言葉が一つの壁になるかもしれませんが、彼らは皆さんとの交流を待ち望んでいると思います。言葉、宗教、風俗、習慣の異なる国から目的をもって静岡大学へ留学した学生たちとの交流は、必ずやこれからの皆さんにとって大きな気づきや学びの機会をもたらしてくれるにちがいありません。そして、皆さんが学生時代に培った人間関係は、必ずや生涯の財産となることでしょうし、本学での出会いを通じて、「多様性」とは何かということに触れるとても良い機会になるはずです。その際、私は皆さんに期待したいことがあります。それは、皆さんと異なる考えや意見、主張を持つ人との交流を避けないでほしいということです。時として、意見や主張の異なる人とは仲たがいをしてしまうことがあるかもしれません。しかし、自分が耳をふさぎたくなるような意見を言ってくれる人の言葉の中にも、実は自分自身が学ぶべきことがあるということを知っておいて下さい。そして、多様な意見や主張に心を閉ざすのではなく、耳を傾ける姿勢も持っていただきたいと思います。

さらに、皆さんにとって本学での学生生活が、自らへの「挑戦」の機会であってほしいと思います。これからの皆さんの人生において、学生時代は最も自由を謳歌できる時期です。それだけに、どのように過ごすのかということは皆さんに委ねられています。そうであるからこそ、自らの可能性を試してみるということに力を注いでみても良いのではないでしょうか。皆さんがやがて本学を巣立つ日を迎える時に、「これだけはやり切った」と言えることにぜひ挑戦してみて下さい。皆さんの学生生活は他人から強制されるのではなく、自らの判断で自身の可能性を試すだけでなく、自身の新たな可能性を発見することができる機会とすることができるはずです。皆さんが静岡大学を新たなことへの挑戦の場と位置付け、何に対しても常に能動的で、自らの想像力を発揮し、柔軟性をもって学生生活を送られることを期待しています。

最後になりますが、私たち教職員は、皆さんの学生生活が充実したものとなるように支援をしていきたいと考えています。どうぞ気軽に私たちに声をかけて下さい。そして、皆さんが静岡大学の優れた環境の中で、生き生きと学生生活を送ることができるよう心より願っています。改めまして、本日はご入学まことにおめでとうございます。
以上をもちまして、私からの式辞とさせていただきます。


令和6年4月4日
静岡大学長 日詰 一幸

JP / EN