【農学部】 齋藤 貴子 助教 がFMしみず「日曜ネイチャーランド」(1/26)に出演しました

2025/02/04
メディア

FMしみず「日曜ネイチャーランド」内の「生きるチカラ」のコーナー(午前11時30分頃~)には、毎週第4日曜日に静岡大学の研究者が出演し、パーソナリティのしなっちさんと、楽しく最新の研究等についてお話しています。

1月26日(日)は、農学部の齋藤 貴子 助教がスタジオ生出演。
海洋生物「ホヤ」を利用して生命誕生の機構を探る研究についてお話しました。


■ 専門の「細胞生物学」「発生生物学」にホヤを使ってアプローチ

細胞生物学」は、私達の体を作っている細胞の構造やその機能を細かく理解していく学問です。「発生生物学」は、1個の細胞から人間ですと37兆個まで細胞分裂していく過程に、どのような遺伝子が働いて、どのような分子やシグナルが使われているかを、生化学や遺伝学、分子生物学など様々な手法を用いて明らかにしていく学問です。

現在は海洋生物「ホヤ」を対象に、生命の起源、発生のメカニズムを探る研究をしています。
哺乳類は体内で発生するため、発生の様子を簡単に目で見ることができません。一方、水生生物は水中で発生し体外での観察が可能であることから、古くから発生生物学の研究対象として用いられてきました。
その中でもホヤは、脊索動物門に属し、脊椎動物である人間と共通した生物学的特徴を持つ生物であることから、ホヤで明らかになったことがそのまま人間に応用できる可能性を秘めています。


■ ホヤが自家受精を防ぐ仕組みを他分野にも応用

ホヤのような雌雄同体の生物は、たまたま生息域に1匹しかいなくても子孫を残せるという点ではとても有利なのですが、同一個体の精子と卵子で受精(自家受精)していくと個体の生存能力や生殖能力が低下(近交弱勢)していってしまいます。
そのため、有性生殖のように遺伝子をミックスし、自家受精を防ぐ必要があります。
自家受精を防ぐ仕組みは植物では普遍的に見られ、ホヤもその仕組みを持っています。
ホヤの卵子と精子は、鍵と鍵穴のような仕組みを持っていて、鍵と鍵穴が一致すると自分の遺伝子であるというシグナルが精子側に働き、受精をしないように働くことがわかってきました。

畜産業界で飼育される牛や豚、海洋生物の養殖は、ほとんど人工授精で個体を増やしていますが、なぜかこの受精率がどんどん落ちているという問題があります。また、人間でも不妊症の問題があり、その要因の1/3は原因不明といわれています。
その原因不明の部分の解決に、ホヤが自家受精を防ぐ仕組みについての研究が貢献できるのではないかと考えています。

■ 「素材」としても活用が期待されるホヤ

今、さらに興味があるのが、「ホヤの体の有効活用」ですね。
ホヤの体は外側が硬いもので覆われていて、被嚢と呼ばれています。被嚢はたんぱく質とセルロースでできています。実はホヤは、動物で唯一セルロースを合成できる生物でもあります。
普段捨てられてしまうこの被嚢を活用して、何か新しい素材にできたらいいなというようなことも考えています。
これは農学部だからこそできる研究でもありますね。

 その他、趣味のバードウォッチングや富士山の良さなど、お話は広がりました

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日曜ネイチャーランド』静岡大学の研究者が第4日曜日11時30分~出演中!

次回の静岡大学の研究者の出演は、2月23日(日)です。

■ 出演番組: FMしみずマリンパル『日曜ネイチャーランド』 (毎週日曜10時~13時)



放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。(同時放送のみ、アーカイブはございません)


ぜひお聞きください。

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