【グローバル共創科学部】 坪井 秀次 准教授 がS-Wave『Sunday Nature』(6/15) に出演しました

エフエムしみず静岡（S-Wave）『Sunday Nature』の「Turn；Green」コーナー（午前８時頃～）には、毎週第３日曜日に静岡大学の研究者が出演し、パーソナリティのしなっちさんと、楽しく最新の研究等についてお話しています。
６月15日（日）は、グローバル共創科学部の坪井 秀次 准教授 が出演。
専門である「組織イノベーション」を中心に、イノベーションを生む組織になるためのより良い「マネジメント」などについてお話しました。


■ 静大に27年ぶりに新設された「グローバル共創科学部」

坪井准教授の所属する「グローバル共創科学部」は、静岡大学では最も新しく、27年ぶり・2023年に新設された７つめの学部です。
文系と理系が一緒になった文理融合型の学部で、学生たちは学際的に様々な分野の知識を学んでいます。
その学びを総合知として課題解決に結びつけていく「共創型人材」を育てる学部になっています。

フィールドワークの授業である「コラボラティブワークス」では、教員の専門性を活かして趣向を凝らした様々なワークを行っています。
坪井准教授が担当するワークでは、２年生で授業中に起業を目指す「イノベーション・スタートアップ」、３年生では企業や行政を対象に無料コンサルティングを行う「イノベーション・コンサルティング」など、学生が社会に出てもその経験が活かせるような取り組みを行っています。

■ 実は様々な分野で起こりうる「イノベーション」

専門は、イノベーション学、経営学、行政学など。
「イノベーション」というと、産業界で起こる特別なことであるようなイメージが強いですが、実は総務や会計、営業などの身近なところ、どの分野でも起こせる概念です。
タンフォード大学のジェームス・マーチ名誉教授の理論によると、イノベーションを起こすには、今の業務を掘り下げる「知の深化」、新しい分野を探す「知の探索」が必要です。知の深化と知の探索が結びつくことで「新結合」が起こり、イノベーションが生まれます。
深めて広げるというイメージを持つことで、新しいことを考える際の照準が絞れるでしょう。

また、イノベーションを起こすことを特別ではなく、標準にするという考えが重要です。
著書「シン・イノベーション思考」では、イノベーションを起こす考え方をご紹介しています。
そのひとつは「イノベーション・リバース・エンジニアリング」で、イノベーションを構成要素に分解してみると、一見複雑に見えるイノベーションも既存の組み合わせでできていることが理解できるのです。
例えば掃除機だと、フィルター式やサイクロン式の要素を分解し、組み合わせを変えることで新しい製品が生まれる可能性がありますね。

■ 組織イノベーションを起こしやすくするために重要なこと

イノベーションは組織で成し遂げられることが多く、そのためには「心理的安全性」の高い組織を作ることが重要です。
心理的安全性とは、組織内で何を言っても許される環境を指します。
上司が部下の提案を否定するような心理的安全性が低い組織では、新しいアイデアは生まれにくいものです。

心理的安全性を高める考え方に、「Yes And」があります。
相手のアイデアや提案の良い点を認めつつ、さらに改善点を付け加えていくコミュニケーション方法で、シリコンバレーや日本でもYes Andワークショップが開催されています。
建設的な意見にさらに建設的な意見が上乗せされると、とても良い相乗効果が生まれます。

また、組織に知の深化と探索をどのように組み込んでいくかもとても重要です。
組織イノベーションを促進するために、他分野のアイデアや技術を取り入れる「オープンイノベーション」を推進していくことで、新たなイノベーションが起こる可能性が高まります。
他分野のアイデアと自分の仕事との間で新結合が起こるので、実は仕事と無関係な人脈がつながるほど、イノベーションが起こりやすくなるのです。


■ 良い「マネジメント」とは

マネジメントは、 組織や実際のプロセスをどのようにマネジメントしていくか、つまり経営とも言える概念です。
マネジメントとは、良いことを上手に実現するための取り組みを指します。
マネジメントの研究では、特にマネジメントサイクルに着目しています。
既存のマネジメントサイクルには、PDSやPDCA、OODAなどがありますが、実は特性に応じて使い分けやベストミックスをする必要性があります。
目的や状況に応じたマネジメントサイクルのあり方について研究していて、失敗を防ぎ成功へ導くためのマネジメントの著書も出版しています。