国立大学法人 静岡大学

小惑星に「Okunoto」「Shizuoka」と命名

2026/01/29
プレスリリース

金沢大学国際基幹教育院GS教育系の八柳祐一教授が発見に関わり、名称を提案した小惑星「Okunoto」「Shizuoka」が、国際天文学連合(IAU)の下部組織である小天体命名委員会(WGSBN)により正式に承認されました。

これらの小惑星は、八柳教授が静岡大学教育学部に在籍していた2007年、学生3名とともに参加した教育アウトリーチプログラム IASC(International Astronomical Search Collaboration)(※1)での解析作業を通じて発見されたものです。IASC は、学生や一般市民がプロの天文学者と同じ観測データを用いて小惑星の探索に取り組む国際的な市民科学プロジェクトで、世界中で5万人以上が参加し、これまでに1万2000個を超える小惑星が発見されています。

2007年のプログラムで得られた観測データを解析した結果、学生らは2個の小惑星を発見し、それぞれ仮符号「2007 TO15」、「2007 TS70」が付与されました。その後、軌道確定のための追観測と審査が継続され、確定までに17年を要しました。2024年4月には、IASC から八柳教授に対し命名権取得の通知が届き、静岡大学教育学部の協力のもと、当時の発見学生3名とともに名称「Okunoto」「Shizuoka」を提案しました。
名称はIAU 小天体命名委員会で審議され、「Shizuoka」が2024年9月に、「Okunoto」が2025年11月に正式承認されました。承認後には、能登町の石川県柳田星の観察館「満天星」が X(旧Twitter) 上で「Okunoto」を紹介するなど、地域からの反響も寄せられています。

都市部では光害により夜空が失われつつある中、奥能登のきれいな星空、夜空は貴重な観光資源であり、今回の命名が地域の魅力発信や星空保全の促進に寄与することが期待されます。


【背景】

教育アウトリーチプログラムIASCでの1回のプログラムは、満月あけから次の満月前までの約4週間を1サイクルとして実施されます。この期間中、参加者には大型天体望遠鏡で観測された画像が10数セット配布され、専用ソフトウエアを用いて解析し、結果を期間内にプログラム主催者へ返送します。画像には既知の小惑星だけでなく未知の天体も含まれるため、正確な解析が必要です。解析に要する時間は1セットあたり通常20〜30分程度で、慣れると10分強まで短縮できます。解析結果に新規小惑星が含まれている可能性がある場合には追観測が行われ、新規天体であることが確認されると仮符号が割り当てられます。
発見された小惑星のデータは、国際天文学連合(IAU)の小惑星センター(MPC)に送られ、複数回の再観測を経て、正式な仮符号が付与されます。今回の2つの小惑星には2007 TO15(Okunoto)、2007 TS70(Shizuoka)が付与されました。その後、軌道が将来にわたり一意に確定(太陽の周りを一定周期で公転していることが確定)すると小惑星番号が付与され、発見者に命名権が与えられます。今回の番号は571535(Okunoto)、364630(Shizuoka)で、軌道確定までには17年を要しました。名称はIAU小天体命名委員会(WGSBN)の審議を経て正式に承認され、命名公報に掲載されます。

■ 命名広報(IAUの正式承認を受けた小天体の命名情報を掲載)
・Okunoto|https://www.wgsbn-iau.org/files/Bulletins/V005/WGSBNBull_V005_025.pdf
・Shizuoka|https://www.wgsbn-iau.org/files/Bulletins/V004/WGSBNBull_V004_013.pdf


【概要】

八柳教授は当時、静岡大学教育学部に所属し、学生の総合的な指導力向上を目的として、教育学部で開講されていた実験授業を通じ、教育アウトリーチプログラムIASCに毎年参加していました。IASC は、学生が実際に小惑星の発見者となる可能性を持つ実践的な学習機会として活用されていました。
2007年のIASCでは、プログラムに参加した学生3名が2個の小惑星を発見し、仮符号2007 TO15(後のOkunoto)、2007 TS70(後のShizuoka)が与えられました。
その後、軌道確定に17年を要し、2024年4月に命名権の取得が八柳教授に通知されました。静岡大学の協力を得て発見学生と連絡を取り、名称「Shizuoka」「Okunoto」を提案しました。名称は国際天文学連合の下部組織である小天体命名委員会で審議され、2024年9月に「Shizuoka」、2025年11月に「Okunoto」が承認されました。
「Okunoto」という名称には、2024年に令和6年能登半島地震および令和6年奥能登豪雨という二つの大きな災害に見舞われた能登半島の人々にとって、夜空を見上げたときの希望の光となること、そして夜空の星々が永遠に輝き続けるように、能登の美しい自然や文化、そこに暮らす人々の営みがこれからも輝き続けてほしいという願いが込められています。
また、「Shizuoka」は、小惑星を発見した当時の学生および指導教員が所属していた静岡大学の所在地である静岡県静岡市に由来する名称で、世界遺産である富士山や羽衣伝説で有名な三保の松原を有する地域の美しさと、そこで育まれた学術的探究の成果が、夜空に輝く小惑星とともに永く記憶されることを願い、当時の学生3名によって提案されました。

■ 小惑星データベースでの検索結果(NASA Webサイト)
・Okunoto|https://ssd.jpl.nasa.gov/tools/sbdb_lookup.html#/?sstr=okunoto
・Shizuoka|https://ssd.jpl.nasa.gov/tools/sbdb_lookup.html#/?sstr=shizuoka


【今後の展開】

小惑星Okunotoの命名に対し、能登町の石川県柳田星の観察館「満天星」がX(旧Twitter)上で「星空が美しい奥能登の名前の小惑星が宇宙にあると思うと嬉しいですね。」と紹介しました。当該ポストに対して「すてき。能登は本当に星が綺麗なのよ。」といった声も寄せられています。
奥能登の美しい星空や夜空といった地域の魅力が改めて注目されることで、地域への関心や理解の向上につながり、今後の魅力発信や星空保全の促進に寄与することが期待されます。


【用語解説】

※1:教育アウトリーチプログラムIASC(International Astronomical Search Collaboration)
Hardin-Simmons University(米国Texas州)のJ. Patrick Miller教授が2006年に開始した教育アウトリーチ活動。学生や一般市民がプロの天文学者と同じデータを用いて小惑星発見に参加できる「市民科学(Citizen Science)」プロジェクトの先駆けとして知られている。2024年時点で96カ国から5万人以上が参加し、1万2000個を超える小惑星が新規発見されている。現在はMiller教授の異動に伴い、本部機能がCisco Collegeに移転。参加希望者はウェブページから無料で申請できるが、人気が高まり、参加までに数ヶ月の待ち時間が生じることがある。
■ IASC Webサイト|https://iasc.cosmosearch.org

関連リンク

静岡大学教育学部

本件に関するお問い合わせ先:

■内容に関すること
金沢大学国際基幹教育院GS教育系 教授
八柳 祐一(やつやなぎ ゆういち)
TEL:076-264-5948
E-mail:yatsuyanagi[at]staff.kanazawa-u.ac.jp

■広報担当
金沢大学学務部基幹教育支援課基幹教育管理係
角野 浩一(すみの ひろかず)
TEL:076-264-5754
E-mail:stkanri[at]adm.kanazawa-u.ac.jp

静岡大学総務部広報・基金課広報係
TEL:054-238-5179
E-mail:koho_all[at]adb.shizuoka.ac.jp

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