【農学部】花岡 創 准教授が S-Wave『Sunday Nature』(4/19)に出演しました
エフエムしみず静岡(S-Wave)『Sunday Nature』のゲストコーナーには、毎月第3日曜日に静岡大学の研究者が出演し、パーソナリティのしなっちさんと、最新の研究などについて楽しく紹介しています。
4月19日 (日)は、農学部の花岡 創 准教授が出演。専門の「育種学」「分子生態学」の紹介や、社会的ニーズの高い無花粉スギ「春凪 (はるな) 」の開発などについてお話ししました。
■ 樹木の “個性” を読み解く
私の専門は「育種学」と「分子生態学」で、樹木の遺伝的な違いを理解していく研究に取り組んでいます。
樹木にはそれぞれ個体差があり、成長の良し悪しや材質の違いなど、さまざまな「個性」があります。そうした違いを観測を通して、時には遺伝子レベルの解析なども含めて明らかにし、遺伝的に良い性質を持つものを選んだりしています。また、良いもの同士を掛け合わせて品種として活かしていくのが基本的な考え方です。
実際の研究では、山に入って多くの樹木を調査し、成長や材質などの特徴を調べながら良い個体を選び出していきます。
静岡大学には2023年に着任し、それ以前は森林総合研究所で北海道のトドマツやカラマツなどの品種開発に携わってきました。そうした経験を土台に、現在は静岡の森林資源を対象とした研究を進めているところですね。
■ 無花粉スギの仕組みと広がるニーズ
現在取り組んでいるテーマの一つが「無花粉スギ」です。無花粉スギは雄花自体は作られるものの、花粉を形成する段階で働く遺伝子が突然変異によってうまく機能しないため、最終的に花粉が完成しないという性質を持っています。こうした個体は自然界では5,000本に1本程度の割合で存在するのではないかと言われており、その性質を持つもの同士を交配することで品種として育てられてきました。
花粉症は日本では非常に多くの人が悩む社会問題になっており、この研究も主に国内で進められています。すでに花粉の量を抑えた少花粉スギは広く普及していますが、無花粉スギについてはまだ品種も限られているのが現状です。
今後はより多くの品種を整備しながら、このニーズに応えていく必要があると感じていますね。
■ 長い時間の中で進む品種づくり
樹木の研究で最も大きな課題は、やはり成果が出るまでに長い時間がかかるという点です。苗木が成長して評価できる大きさになるまでには長い年月が必要で、品種開発も必然的に長期的な取り組みになります。無花粉スギについても、開発した個体をさらに増やし、保存していく段階で、実際に広く使われるようになるまでには時間がかかります。
人工林全体を無花粉スギや少花粉スギに置き換えるとすれば、100~200年という非常に長いスパンが必要になりますが、森林の健全性を維持するためにも更新は欠かせません。そうした中で、一度に変えるのではなく、少しずつ更新していくという視点が重要になります。
一方で、自分たちが育ててきた品種が実際に林業の現場で使われ、役に立っている様子を見ることができるのは、この分野ならではのやりがいです。研究成果が社会と直接つながる場面を実感できるというのは、大きな魅力でもありますね。
10年後、20年後を見据えながら、そのときに役立つ品種を整備していくことが現在の目標です。
■ 次の世代へつなぐ研究を進める
この分野の研究では、先輩の研究者が長い時間をかけて蓄積してきた材料を引き継いで使うことが多くあります。そのため私たちも、これからの世代にどのような材料や知見を残していくのかを意識しながら研究を進めています。すぐに成果が見える分野ではありませんが、その分、長い時間軸で物事を考えていく必要があるのが特徴です。
今後はスギに限らず、さまざまな樹木について、それぞれが持つ個性を明らかにしていきたいと考えていますし、人にとって使いやすい性質を持つものは品種として活用していきたいですね。
また、環境への適応に関わる性質については、それを踏まえた保全のあり方を提案していくことも重要だと考えています。
静岡大学農学部には、樹木や森林を研究する教員が複数在籍し、教育や研究に活用する演習林も整備されています。こうした分野に関心のある方には、ぜひ応援していただきたいと思いますし、高校生のみなさんにも関心を持って学びに来ていただけるとうれしいですね。
楽しい環境・エコ・自然科学の入門!
S-Wave『Sunday Nature』(日曜朝 8:30~10:00)放送中!
静岡大学の研究者は、第3日曜日 朝 9:00~出演!
次回の静岡大学の研究者の出演は、5月17日 (日)です。
■ 出演番組: エフエムしみず静岡(S-Wave)『Sunday Nature』(毎週日曜 朝 8:30~10:00)
放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。(同時放送のみ、アーカイブはございません)
ぜひお聞きください。






