国立大学法人 静岡大学

高山 英里香さん(人文社会科学研究科 比較地域文化専攻 歴史・文化論コース)が第24回日本旧石器学会において「2026年度日本旧石器学会若手奨励賞」を受賞

2026/07/27
受賞・表彰(学生)

高山 英里香さん(人文社会科学研究科 比較地域文化専攻 歴史・文化論コース、指導教員:山岡 拓也 教授)が、第24回日本旧石器学会において「2026年度日本旧石器学会若手奨励賞」を受賞しました。
高山さんは愛知県埋蔵文化財調査センターに学芸員として勤務しながら社会人学生として修士課程で学んでいます。

(写真左より) 受賞した高山さん、日本旧石器学会の堤 隆 会長

(写真左より) 受賞した高山さん、日本旧石器学会の堤 隆 会長

研究発表(ポスター発表)のタイトル
更新世末の愛鷹山麓・富士山西南麓における遺跡分布の変遷

概要
更新世末は、温暖で安定した気候となる完新世(約11,700年前以降)の前段階で、気候が温暖で安定していた時期と寒冷で不安定な時期が繰り返されたことが知られています。その時期は土器が出現していることから縄文時代の最初の時期(草創期)として位置付けられることが一般的で、竪穴住居址などの遺構に加えて石鏃や磨石、石皿といった石器など縄文時代を特徴づける様々な考古資料が現れ、狩猟採集民の生活様式が大きく変化した時期として知られています。

本研究が対象とした静岡県東部の愛鷹山麓・富士山西南麓は、比較的温暖な気候条件下にあり、発見されている遺跡数が多く、一遺跡で検出される一時期の竪穴住居址の数が本州の他の地域に比べて多いことから注目されてきました。その一方で、遺跡情報の網羅的な収集・整理や検討が行われておらず、更新世末(縄文時代草創期)のこの地域の考古資料の全体像が明らかにされていないという状況にありました。それを踏まえて本研究では、更新世末を5つの時期に区分し、遺跡情報を網羅的に収集・整理した上で、竪穴住居址などの遺構や土器や石器の遺物の定量的な検討が進められました。

その結果、周辺の地域では遺跡数が減少する気候が寒冷化・不安定化する時期(5つの時期の中で2番目に新しい時期)に遺跡数が増加するとともに、住居址や植物性食料の加工具とみられる磨石・石皿・凹石の数も増加することが明らかになりました。その一方で、その後の時期(5つの時期の中で最も新しい時期)には遺跡数は変化しないものの、遺跡から出土する遺物の量が著しく減少し、住居址のような遺構も著しく減少することから、その後の縄文時代早期に向けて、住居址などの遺構や遺物の数が右肩上がりに増加するわけではないことも明らかにされました。

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