国立大学法人 静岡大学

古茶樹のゲノム解析により中世茶の伝播を検証する共同研究を開始 -文理融合により日本茶の歴史を検証-

2026/09/14
プレスリリース

静岡大学農学部 山下 寛人 助教の研究グループは、駒澤大学仏教学部禅学科 舘 隆志 准教授を研究代表者とする研究プロジェクト「中世茶の伝播と系統に関する研究 -古茶樹DNA解析による検証-」に、ゲノム解析担当として参画します。
本研究は、公益財団法人本庄八郎記念お茶財団の2026年度助成事業に採択され、本年8月より開始しています。


【研究のポイント】
・文献史料研究とゲノム解析研究に基づく文理融合による取り組みで、日本茶の歴史を検証
・全国各地の寺院に伝わる古茶樹を対象に調査

【研究概要】
本研究は、日本中世における茶の伝播と系統について、禅宗史・仏教史の文献史料研究と、現存する古茶樹のゲノム解析を組み合わせ、学際的に検証する取り組みです。奈良・平安期の伝来、鎌倉期の栄西による再伝来など、これまで文献史料を中心に論じられてきた茶文化の形成過程を、集団遺伝学の知見と接続することで、より実証的に明らかにすることを目指します。

解析にあたっては、駒澤大学・舘隆志准教授が禅宗史・仏教史研究を通じて蓄積してきた喫茶文化に関する文献学的知見と、本学研究グループによる茶樹の集団遺伝学的解析手法を組み合わせ、さらに入間市博物館(埼玉県)が進めてきた中世茶の再現研究の知見も合わせて、全国各地の寺院に伝わる古茶樹を中心に、史料上の記録と現存個体との対応関係を検討します。


【研究の意義】
本研究は特定の一地域・一寺院の茶を対象としたものではなく、中世の茶の栽培の記録がある日本各地の寺院に残る古茶樹を横断的に調査し、中世における茶の伝播経路を広域的に検証する文理融合の研究です。成果は、各地に伝わる茶の歴史的背景を学術的に裏づけるとともに、希少な国内の茶樹遺伝資源の保全にも資すると期待されます。


【研究者コメント 】
静岡大学農学部 助教・山下寛人(やましたひろと)

日本茶の歴史は、禅宗史・仏教史における喫茶文化が密接に関わっています。
本プロジェクトでは、文理融合研究で取り組むことで、日本茶文化の形成過程が明らかになることを期待しています。


【調査対象地域 (現時点)】
永源寺(近江・滋賀県)、円覚寺(鎌倉・神奈川県)、建長寺(鎌倉・神奈川県)、興聖寺(宇治・京都府)、慈光寺(都幾川・埼玉県)、浄智寺(鎌倉・神奈川県)、清見寺(興津・静岡県)、長楽寺(世良田・群馬県)、東福寺(東山・京都府)、永光寺(能登・石川県)、霊山院(都幾川・埼玉県)(寺院名のあいうえお順)ほか。
調査は現在も進行中であり、現地での確認が進むにつれて対象地域は今後も増加する見込みです。このほかの寺院についても、茶樹の現存が確認された場合には順次調査対象に加えていきます。


【今後の予定】
研究期間は2026年8月から2027年7月まで。現地調査・試料採取を経て、ゲノム解析による系統比較を行い、成果は学術論文および報告会等を通じて順次公表する予定です。

※本研究は、各地の寺院に伝わる古茶樹のゲノム解析を通じて中世における茶の伝播と系統を実証的に検証することを目的とするものであり、現時点で特定地域の茶のルーツを断定するものではありません。

問い合わせ先:

(研究に関すること)
静岡大学農学部
助教・山下寛人 (やましたひろと)
TEL : 054-238-4591
E-mail : yamashita.hiroto[at]shizuoka.ac.jp

(報道に関すること)
静岡大学 広報・基金課
TEL : 054-238-5179
E-mail : koho_all[at]adb.shizuoka.ac.jp

※[at]を@に変更してご利用ください。

>X(twitter)

JP / EN

Translate