静岡大学教職員像 解説

総合戦略会議(平21.3.25)承認
企画・調整会議(平21.4.1)報告
教育研究評議会・役員会(平30. 1.17)承認

 静岡大学は、自由啓発の理念のもと、平和で幸福な未来の創成を目指す。
 この目標の達成に向けて、静岡大学の教職員は自らの職務を自覚し、その遂行にあたっては、役割を分担しつつ共に力を合わせ、それぞれの力量を余すところなく発揮する。多様な背景・価値観を認め合い、静岡大学にかかわるすべての人々と協力して、教育、研究、社会連携・産学連携、国際連携、大学運営に意欲的に取り組み、地域社会とともに発展する静岡大学を創りあげていく。

 静岡大学の理念と目標」に明記されているとおり、静岡大学は「自由啓発・未来創成」という理念のもと、「地域の豊かな自然と文化に対する敬愛の念をもち、質の高い教育、創造的な研究による人材の育成を通して、人類の未来と地域社会の発展に貢献する大学」を目指す。この基本理念を共有し、さらに実現していくための具体的な指針、それが「静岡大学教職員像」にほかならない。
 これを受けて、冒頭には、静岡大学を主語とする一文が置かれている。同様の観点から、末文では、静岡大学を教職員が共に「創りあげていく」という側面が強調されている。
 ひとつの大学を「創りあげていく」かぎり、本学のすべての構成員が同一の目標を共有する必要がある。この点では、学生と教職員、教員と職員、男性と女性との間に区別はない。むしろ「職務」、「役割」、「背景・価値観」の多様性を尊重し、これを活かすかたちで、誇りのもてる静岡大学を共に形成していく。
 ただし、教職員像は、大学としての基本理念の実現に向けた、特に教職員の課題を示すものであり、学生にもメッセージを届けるべく起草された「理念と目標」とは対象を異にしている。
 以下では、教員と職員がイコール・パートナーとして共有すべき教職員像を、1理念、2教育、3研究、4社会連携・産学連携、5国際連携、6倫理、7大学運営、8結びという8点にわたって示す。

1. 教職員は自由啓発の理念のもと、教職員はもとより、学生との間にも、互いに信頼し学び合う相互啓発的な関係を形成する。

「自由啓発」の理念は「静岡大学の理念と目標」の主柱であり、学生たちをできる限り自由な環境のなかに置き、ひとり一人の個性を尊重することを通してその才能を発揮させることに重きをおく前身校※の教育理念を発展的に継承するものである。
 私たちは、「自由啓発」を本学の構成員すべてが共有すべき理念であると考えており、学生どうし、学生と教職員、教職員どうしなど、個と個を結ぶ「相互啓発的な関係を形成する」ことを目指している。
 教育、研究、社会連携・産学連携、国際連携、大学運営等の領域における自由な発想や活動は、いずれも「互いに信頼し学び合う相互啓発的な関係」から始まる。こうした観点から、「自由啓発」は教職員像において、出発点に位置づけられるべき理念といえる。 (※旧制静岡高等学校、静岡第一師範学校、静岡第二師範学校、静岡青年師範学校、浜松工業専門学校(旧浜松高等工業学校)、静岡県立農科大学)

2. 教職員は人類が蓄積してきた知と文化を継承しつつ、国際的感覚を備えた高い専門性と豊かな人間性を有する教養人を育成する。

 私たちの現在は、長い歴史のなかで蓄積されてきた人類の遺産のうえに築かれている。 教育は、この遺産の中核をなす知と文化に新たな知見を加えて学生たちに伝達し、かれらの能力開発・人格形成を行う営みである。さまざまな分野における世界規模での交流や協力関係がいっそう進んでいくであろう21 世紀には、国際的感覚・高い専門性・豊かな人間性を兼ね備えた教養人がますます重要な役割を果たすことになるにちがいない。そのために質の高い教育を提供することが、静岡大学の重要な使命となる。
 こうした使命を自覚し、教員と職員はイコール・パートナーとして、緊密な協働のもとにそれぞれの職務を遂行していく。授業や研究指導に直接たずさわるのは教員であるが、職員も日々の活動において教育という営みの一端を担っているからである。

3. 教職員は学問の自由を尊重し、人類と地球の未来をひらく基礎的・独創的な研究に意欲的に取り組み、それぞれの分野の発展に資する研究成果の創出を目指す。

 学問の自由は日本国憲法第23 条で保障された権利であり、この自由があってこそ豊かな未来を拓く創造的な研究が可能となる。かけがえのない地球を守って、その豊かさを将来世代に継承するためには、基礎的な研究分野と応用研究の発展がともに重要な意味をもつ。こうした認識のもと、静岡大学の教員は、各人の専門的能力を高めるよう研鑽を積み、「それぞれの分野の発展に資する研究成果」を創出する。
 多様な研究分野において意義ある成果を生みだし、研究指導を通じて次代を担う後継者を育てることは、大学に課せられた責務である。そのために必要な財政的基盤を含む研究環境の充実にあたっては、教職員は全学的な協力体制を築いて目的を達成する必要がある。

4. 教職員は地域の身近な自然と文化に学び、社会が直面する諸問題に取り組み、文化と情報の発信を通して、地域コミュニティをはじめ、社会から寄せられる信頼と期待に広く応える。

 研究成果を社会に還元し、社会の持続可能な発展に貢献することは、大学の重要な使命である。それはけっして一方的関係ではない。社会への応答(アカウンタビリティ)は、新たな質の研究課題を設定し研究を活性化する上でも、また新しいタイプの働き手を養成する上でも、貴重な宝庫である。
 私たちは、地域社会の一員として、地域の自然と文化に謙虚に学びながら、社会が直面している課題を真摯に受けとめ、どんな役割を果たせるのかを考えなければならない。地域社会とともに、社会の発展に貢献できる有為な働き手を育成し、社会とともに問題の解決に取り組んでいく姿勢が求められている。

5. 教職員は諸外国との交流や学生の海外派遣、留学生の受入れを通して大学の国際化に努めるとともに、地域社会と世界とをつなぐ、人や文化・産業の橋渡しの役目を果たす。

 今後、世界規模での交流や協力関係が進み、国立大学は国際的感覚・高い専門性・豊かな人間性を兼ね備えた人材を育成することが求められている。そのためには、私たちは、諸外国と幅広い交流に努め、学生の海外派遣、留学生の受入れを支え、大学の国際化を推進していかなければならない。
 また、地域の発展なくして静岡大学の発展は望めない。国際的な視点からの地域の発展においては、地域と手を携えながら国際連携を推進し、地域社会とアジア、そして世界とをつなぐ、人や文化・産業の橋渡しの役目を果たすことが求められている。教育研究、国際連携を通して世界と繋がりを持つ静岡大学にとって、その知見や有形・無形の資産を地域の発展にも役立てることは、その使命の一つである。

6. 教職員は高潔な倫理性を身につけるとともに、各自の専門的能力を最大限に高めるべく、自己研鑽に努める。

 教職員は大学の社会的使命と高い公共性を自覚して、静岡大学の教職員としての誇りをもち、高い倫理性を保って職務に精励することが求められている。各種法令及び本学が定める「国立大学法人静岡大学教職員行動規範」等※を遵守する。
「静岡大学の理念と目標」が掲げる高い目標は、教職員ひとりひとりが自らの能力を十二分に発揮してこそ実現できる。幅広い教養に支えられた高度な専門的な能力と技量を身につけるべく、たえず「自己研鑽に努める」ことが求められている。 (※国立大学法人静岡大学教職員倫理規程、静岡大学における研究者の行動規範など)

7. 教職員は社会の変化に柔軟に対応すべく、創意工夫を凝らし、互いに協力しあって大学の運営に携わる。

 以上の通り、私たちは、「自由啓発」の理念から出発し、高潔な倫理的態度をもって、教育、研究、社会連携・産学連携、国際連携、大学運営の諸課題に共に取り組んでいく。それはすべて「平和で幸福な未来の創成」に寄与するためにほかならない。
 教職員は、静岡大学の未来を担うべく、大学運営の仕組みや社会全体の変化に柔軟に対応するとともに、次世代の育成に努める。そして共通の目標に向けて、「創意工夫を凝らし」、それぞれの力量を余すことなく発揮し、静岡大学にかかわるすべての人々と協力して、大学運営に意欲的に取り組んでいく。

8. 教職員は平和で幸福な未来の創成を目指して、果敢に挑戦していく。

 変革の時代である今日、静岡大学が地域に根ざした存在感のある大学として発展していくためには、安定した大学運営が不可欠である。
 現代社会は大きな転換期を迎え、それとともに大学を取り巻く状況と環境は大きく変動している。こうした激動の時代にあって、既成観念や因習ばかりに囚われるならば、私たちの大学の前には、困難な局面のみが待ち受けることになろう。
 しかし、「自由啓発・未来創成」という理念のもと、私たちは、失敗を恐れることなく、常に希望を胸に抱きつつ、そのつどの困難を楽しんでいく。危機を発展の好機と捉え、創意工夫を凝らして、日常の課題に取り組んでいく。
「静岡大学の理念と目標」で謳われているように、私たちは、「「自由啓発」の理念を高く掲げ、共に手を携えて地域の課題、さらには地球規模の諸問題に果敢にチャレンジするとともに、人類の平和と幸福を絶えず追求して」いく。教育、研究、社会連携・産学連携、国際連携、大学運営におけるこれら一つひとつの真摯な取り組みのうえに、「平和で幸福な未来の創成」が実現するのである。

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