狩野 芳伸 (KANO Yoshinobu) 自然言語処理

生成AIを使い・作り・超える

第6期 静岡大学研究フェロー

自然言語処理

狩野 芳伸

KANO Yoshinobu

自然言語処理の基礎研究と各分野への応用

狩野芳伸(Kano Yoshinobu) 情報学部教授/1978年9月生まれ、2001年東京大学理学部卒業、2007年東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程単位取得退学、2011年博士(情報理工学)(東京大学)。2008年同特任研究員、2011年JSTさきがけ研究者、2014年静岡大学情報学部准教授、2025年同教授、2025年より第6期研究フェロー。

Chapter01

「AI~大規模言語モデル」の社会実装を多分野で目指す

生成AIのように日本語や英語など自然言語をコンピュータで扱う「自然言語処理」の研究をしています。言語は人間の知能の中核であり、人間の知能を探求する科学的な側面と、人間と協調する知的システムを作るという工学的な応用が表裏になる挑戦的な分野です。人間の知能の仕組みを取り入れて、生成AIを使い・作り・超える。その成果を政治・医療・法・実験科学などさまざまな分野で実用化するのが目標です。

Chapter02

裁判の自動化、世論形成などの推測、精神疾患の自動診断など幅広く研究

具体的には、嘘をつきながら嘘を見破る会話ゲーム「人狼」を自動プレイする人狼知能プロジェクト、最終的に裁判過程の自動化支援を目標とする司法試験の自動解答を題材にした国際コンテスト、大規模電子カルテデータを用いて抗がん剤の副作用・作用の推測を行う医療応用、精神疾患や発達障害の自動診断支援、さらに、ニュース記事・過去の全国会議事録を併用し、大規模クラウドソーシング調査に基づくネットユーザの人物属性推定と精緻な自然言語処理を組み合わせ、欺瞞の検出や世論形成過程と社会精神状態の推測による政策決定支援を目指すプロジェクトなどに取り組んでいます。

Chapter03

「超・集合知」生成AIの限界を打破し、次世代のブレークスルーを目指す

生成AIの登場により自然言語処理と「人を超えること」への期待は飛躍的に高まりました。一方で、生成AIは既知のデータの重ね合わせで出力を得るいわば「超・集合知」であり、一(イチ)から論理推論をするようなモデル構造ではないと考えています。また、人間の記憶は汎用的ではなくその限界も特殊な形であることが知られており、そうした限定的なメモリの導入と、記号処理と深層学習の融合により、説明可能な推論・言語処理を行う汎用モデルを構築し、現在のTransformerを基盤とする枠組みの限界を打破し次世代のブレースルーを目指したいと思います。応用研究においても、対話・医療・法・政治と幅広い分野の多数のプロジェクトで共同研究を同時に推進しており、これらの発展継続と社会実装を行うとともに、技術の進歩を取り入れつつ、学生たちと共にさらに新たな研究に挑戦していきたいと考えています。

[写真]狩野 芳伸 (KANO Yoshinobu)

第6期 静岡大学研究フェロー