中野 貴之 (NAKANO Takayuki) 化合物半導体結晶成長

次世代新奇デバイスの開発

第6期 静岡大学研究フェロー

化合物半導体結晶成長

中野 貴之

NAKANO Takayuki

III族窒化物半導体を用いた新奇デバイスの創生

1975年生まれ、2001年東京大学大学院修士課程修了、2001~2003年松下電器産業株式会社勤務、2006年東京大学大学院博士課程修了、2006年神奈川科学技術アカデミー博士研究員、2008年静岡大学工学部助教、2014年静岡大学准教授、2024年静岡大学教授、2025年より第6期研究フェロー。

Chapter01

優れた材料特性を生かし、新しい機能の発現を目指す

B(BN)の高い中性子捕獲断面積とGaNの高電子移動度・低雑音を併せ持つBGaNに代表されるIII族窒化物半導体は、優れた材料特性を持つことから青色発光ダイオードやパワートランジスタの半導体材料として開発が行われています。我々の研究室では、このような優れた材料特性を生かした、新しい機能の発現を目指し新奇デバイスの創生に向けた取り組みを実施しています。

Chapter02

BGaN層内で全工程を行う疑似直接検出手法の確立へ

昨今は、GaNの一部のGa原子をB原子に置換したBxGa1-xN(BGaN)を用いた、中性子検出半導体といった新奇放射線検出器の開発に取り組んでいます。放射線の一つである中性子は電荷を持たないため、直接電気信号に変換することが困難です。そこで、中性子捕獲断面積が大きく中性子捕獲元素として用いられるB原子を半導体構成元素として含むBGaNに着目して研究開発を行っています。
半導体層中に中性子捕獲元素であるB原子を含むことで、BGaN層内で中性子捕獲から電気信号生成までの全工程を行う疑似直接検出手法の確立を目指しています。このような新奇デバイスの実現に向けて基盤技術となるBGaN結晶成長技術の開発に取り組んでおり、半導体デバイスとして機能するBGaN結晶の作製を実現し、検出器作製に至っています。

Chapter03

新奇デバイスの作製は基礎研究の醍醐味、研究者たちと競い合い、協力しながら進めたい

化合物半導体結晶成長技術を用いた新材料・新奇デバイスの開発では、これまで世に出ていない機能を発現させるといった取り組みであり、マテリアルサイエンスの醍醐味を堪能しています。理論的には実現できる機能は数多くあり、提唱されています。しかしながら、理論通りに動作させるためには高い品質やスペックを持った材料が必要不可欠です。新機能デバイスを実際に機能させるためには必要とされるスペックを満たす機能材料を合成する必要があります。我々は半導体材料合成からデバイス作製まで提案と開発を行っており、多くの試行錯誤により、提案通りの機能を発現したときは感慨深いものがあります。新しいデバイスを作製することは基礎研究の醍醐味であり、多くの研究者と競い協力しながら次世代の新奇デバイスの創生に向けて開発を行っています。

[写真]中野 貴之 (NAKANO Takayuki)

第6期 静岡大学研究フェロー