新谷 政己 (SHINTANI Masaki) 環境微生物学・分子遺伝学

プラスミドを解き明かす

第6期 静岡大学研究フェロー

環境微生物学・分子遺伝学

新谷 政己

SHINTANI Masaki

未来を創るプラスミドDNAの動態解明

1978年3月東京生まれ、2006年東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了、2008年東京大学生物生産工学研究センター特任助教、2010年理化学研究所基礎科学特別研究員、2012年静岡大学工学部准教授、2024年より同教授、2025年より第6期研究フェロー。

Chapter01

“プラスミド”が微生物に急速な進化を引き起こす

プラスミドは、微生物が持つ特殊なDNAの一種で、本体である染色体とは別に存在し、自分で複製することができます。微生物が生きていくのに必須ではありませんが、薬剤耐性や環境への適応など、生存に有利な性質を与えることがあります。ある微生物から別の微生物へと移動できるプラスミドも存在し、それによって遺伝子が微生物の間でやりとりされます。このような仕組みは、微生物の急速な進化や性質の変化を引き起こします。

Chapter02

どこで、どんなプラスミドが、どの微生物の間を移動しているのか?

一方で、薬剤耐性遺伝子が広がると、薬の効かない細菌(多剤耐性菌)が出現し、深刻な感染症の原因になるため、社会的にも重要な課題です。プラスミドの複製や移動については、大腸菌など限られた微生物を用いた実験で多くのことがわかってきました。しかし、多様な微生物が混在する環境では、プラスミドがどのように振る舞っているのか、まだほとんどわかっていません。特に、「どこで、どのようなプラスミドが、どの微生物間を移動しているのか」といった基本的なことすら未解明です。私たちは、このような環境中でのプラスミドの動きを解き明かす研究に取り組んでいます。

Chapter03

「問い」を立て、想像力をめぐらせながら、微生物の世界の「謎」に迫る!

静岡県は、海や山に囲まれ、河川、湖沼、温泉など、さまざまな自然環境に恵まれています。このような多様な環境には、目には見えませんが、無数のユニークな微生物たちが、多種多様な環境に適応して生息しており、静岡はまさに「微生物の宝庫」と言えます。あまり知られていませんが、こうした微生物たちは、地球規模の物質循環に貢献したり、ときには重篤な病気を引き起こしたり、人間社会に実に大きな影響を与えています。私たちの研究室では、こうした微生物の「営み」を知るための手がかりの1つとして「プラスミド」と呼ばれる特殊なDNAに注目し、その機能や役割を研究しています。プラスミドは、遺伝情報のやりとりに関わることで、微生物の進化や環境への適応を支えており、医療や環境分野でも重要な存在です。研究室では学生たちとともに、プラスミドの機能や役割についての「問い」を立て、想像力をめぐらせながら、微生物の世界の「謎解き」に取り組んでいます。日々、未知の生命現象との出会いにわくわくしながら、その成果を社会に活かすことを目指しています。

[写真]新谷 政己 (SHINTANI Masaki)

第6期 静岡大学研究フェロー