越水 正典 (KOSHIMIZU Masanori) 放射線材料学

ナノスケールで次世代材料を創る

第6期 静岡大学研究フェロー

放射線材料学

越水 正典

KOSHIMIZU Masanori

放射線を可視化する先端材料の開発

1976年5月生まれ、2003年東京大学大学院工学系研究科博士課程中途退学、2004年東北大学助手、2007年東北大学助教、2011年東北大学准教授、2022年より静岡大学電子工学研究所教授、2025年より第6期研究フェロー

Chapter01

光を用いて放射線を計測する材料を開発し、内部可視化や粒子検出などに活用

放射線とは一般的に、高いエネルギーを持った粒子(あるいは光の粒:光子)です。例えば、レントゲン撮影に用いられるX線は、高エネルギーの光子です。レントゲン撮影では、例えば骨折の有無などを、人体を透過したX線の強度分布の画像を基に判断することができます。このときに、X線の強度分布の画像化などに用いられる素子が、放射線検出素子です。
多様な放射線計測のための素子のうち、私が開発を進めているのは、光を用いて放射線を計測する材料です。このような材料は、レントゲン撮影をはじめとする医療診断、空港の手荷物検査などの内部可視化、あるいは素粒子物理研究のための巨大な加速器施設に設置される粒子検出など、多様な分野で用いられます。

Chapter02

ナノスケールで放射線に対する電子の応答を制御し、高性能材料を実現

特に、最先端の用途では、非常に高度な放射線計測精度が要求されるため、そのための高性能材料が求められます。
私のグループでは、そのような需要に応えるべく、有機物、無機物、あるいは有機無機ハイブリッドを駆使し、nm(ナノメートル:1 nmは1 mmの百万分の一)からmmあるいはcmのスケールで、放射線に対する電子の応答を多様な化合物を駆使して制御し、高い性能を実現し、次世代の医療診断装置や素粒子実験での利用に供することを目指しています。

Chapter03

「安全かつ高度な」放射線利用を目指し、多様な化合物を用いた材料を開発

放射線というと、「危険なもの」というイメージがあるかもしれません。一方で、放射線といえばすぐに想起される原子力発電のみならず、医療(診断と治療の双方に用いられます)や材料の加工、あるいは手荷物や構造物の内部の可視化にも用いられます。これらの用途では、放射線を計測する精度が、放射線利用の品質そのものを左右するケースも多くあります。
私の研究では、多様な化合物を用いて、放射線をより高精度に計測可能な素材を開発しています。放射線の計測においては、放射線のエネルギーを受け取った電子が主役となります。その電子が、どのような「旅路」をたどり、エネルギーを失うのかによって、放射線計測の精度は決定されます。高精度な放射線計測にとって都合の良い「旅路」を電子に用意してあげるために、多様な化合物を用いた材料開発を進めています。

[写真]越水 正典 (KOSHIMIZU Masanori)

第6期 静岡大学研究フェロー