白井 千晶 (SHIRAI Chiaki) 家族社会学・医療社会学

「生む、育てる」に向き合う

第6期 静岡大学研究フェロー

家族社会学・医療社会学

白井 千晶

SHIRAI Chiaki

リプロダクションをめぐる包摂と排除の秩序に関する研究

1970年愛知県生まれ、1989年東京外国語大学卒業、2003年早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。日本学術振興会特別研究員(RPD)などを経て、2014年静岡大学人文社会科学部准教授、2016年同教授。2022年より第5期研究フェロー、2025年より第6期研究フェロー。

Chapter01

古今東西のリプロダクションを社会学から捉える

人のリプロダクションを社会学をベースに研究しています。リプロダクションとは、マクロには次世代育成、ミクロには生み育てに当りますが、そこには生まないこと、生まれないこと、つまり妊娠、出産、避妊や人工妊娠中絶、出生前検査、不妊や生殖技術などを含みます。
社会が次世代育成・社会維持のためにもっている仕組み、例えば婚姻制度や親族制度は、人を保護すると同時に排除をする仕組みでもあります。古今東西の社会がもつ包摂と排除の秩序を捉えたいと考えています。

Chapter02

親族以外の共同養育、性的多様性、生殖技術などを、家族やジェンダー原理から深めていく

現在特に取り組んでいるのは、歴史的にもみられる養子や里親、若者宿やシェアハウスなど親族以外の共同養育、SOGIEなど性的多様性、精子提供や卵子提供などの生殖、障害と出生前検査などの領域です。
その包摂と排除の仕組みには、リプロダクションを入れる枠として「家族」が用いられてきたため、「家族」やジェンダー原理からアプローチしています。虐待や暴力の防止とそこからの回復として、支援や福祉、性と生殖の権利(Sexual Reproductive Healthand Rights: SRHR)にも関心をもっています。

Chapter03

この研究の面白さは「自身の生活や人生そのものがフィールドワークになること」

この研究の面白さは、自身の生活や人生そのものがフィールドワークになるということです。ピンチや困ったこと、理不尽なことも、データを取り、分析すると当事者性をもって研究することができます。
調査や研究を社会に還元することや、研究者としてだけでなく人として社会参画することは、自身にとっても社会にとってもとても大事なことだと思っています。
現在、養子縁組や社会的養護、第三者が関わる出生、出生前検査や障害、人工妊娠中絶や性暴力などSRHRやリプロダクティブ・ジャスティス(Reproductive Justice)、アドボカシーなどの分野で活動しています。
自身だけでなく、大学が地域社会とつながる役目をと、学生がファミリーホーム(社会的養護の家庭養護を担うホーム)に定期訪問する「ななめプロジェクト」を運営しています。至らぬ点や失敗も多々ありますが、教育研究に取り組んでいきたいと思います。

[写真]白井 千晶 (SHIRAI Chiaki)

第6期 静岡大学研究フェロー