組織評価(平成19~20年度実施分)

組織評価の概要について

本学は、平成19~20年度に、学部等の部局を対象に、「教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備の状況」(『学校教育法』第109条第1項)に関して、組織評価(自己評価・外部評価)を実施いたしました。ここに、その結果を公表いたします。


大学に評価の文化が定着する契機となったのは、平成3年に実施された『大学設置基準』のいわゆる「大綱化」にありました。旧基準が、「大学は、この章で定める基準に従って授業科目を開設する。」とし、「大学で開設すべき授業科目は、その内容により、一般教育科目、外国語科目、保健体育科目及び専門教育科目に分ける。」としていたのに対し、新基準は、「大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。教育課程の編成に当たっては、大学は、学部等の専攻に係る専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するように適切に配慮されなければならない。」と規定しました。


両者の基準の違いは明確です。大学教育に係る規制の緩和であり、具体的には、大学による教育目的の設定とそれに即した独自の教育課程の編成です。さらにそこから、教育活動が、従来のような個々の教員の活動の集積結果ではなく、大学、学部等の組織としての取り組みが必要なものとして位置づけられることとなりました。大綱化は、私たち大学教育に携わる者に大きな意識改革を求めるものでもあったのです。


こうした大綱化により、大学は「自由」を手にしたと同時に、自らが掲げる教育目的、教育課程、教育内容が妥当であるか、教育を実施する上での施設・設備、支援体制が整っているか、目的・設計に見合った教育成果が上がっているか、これらの取り組みが組織として行われているか等々について自己点検と評価を行う「責任」を課せられたことになりました。 このことは、研究についても同様です。むろん、憲法が保障する「学問の自由」により、大学設置基準は研究について教育におけるような方向付けを行っていません。しかし、大学における教育が研究による裏付けを必要とする限り、教育のありようの変化は、当然、研究のありようにも関係し、今日、研究についても、教育と同様に、個々の教員の活動の集積結果としてではなく、大学としての方針・目的の確定、活動全体のマネジメント、そして自己点検と評価が求められていることに変わりはありません。


本学におきましても、大綱化以降、学部・研究科、教養部等により教育・研究を対象とする自己評価、さらに外部評価が始まりました。いわゆる自己評価・外部評価の時代の到来です。しかし、全国的にもこの頃は試行錯誤の時代といってよく、外部評価も、多くの場合、仲間内の評価でしかなく、第三者評価というには程遠いものがあり、そのため、一時、「第二者評価」という言葉さえ使われました。その後、より評価の客観性・組織性を求める方向で、大学評価・学位授与機構が、国立大学を対象に、全学テーマ別評価と分野別評価を試行的に実施することになったのは、平成12年からでした。


こうした経過を経て、国立大学の法人化を契機に、大学評価の在り方がようやく体系化されるに至ったといえます。現在、国立大学は、『国立大学法人法』により「各事業年度における業務の実績」及び「中期目標の期間における業務の実績」についての評価、『学校教育法』により「大学の教育研究等の総合的な状況について」の認証評価を受審することを義務づけられ、さらにその前提として『学校教育法』により教育・研究等についての自己評価を行うことを義務づけられているという状況にあります。


本学は、評価を巡る新たな動きに対応するため、法人化以降、従来あった「全学評価会議」を発展的に「評価会議」に再編するとともに、評価会議内に「組織評価WG」を置き、組織評価(自己評価・外部評価)の在り方につき検討を重ねてきたところですが、平成19年度に、「組織評価に関する実施要項」、「評価の基準と観点(静岡大学)」を定め、組織評価の実施に係る体制を整備するに至りました。基本的な方針は、(1)従来の部局単位の方針に基づく評価に代えて、各部局が大学の定める実施要項等に基づき統一的に評価を実施する、(2)認証評価の受審を前提に、「評価の基準と観点」を認証評価機関のそれに準じたものとする、というものです。


各部局は、評価作業の終了後、組織評価の結果を基に要改善事項を確認し、それに基づき改善計画を策定し、改善を進める取り組みを開始したところですが、「自己評価報告書」から判断し、各部局とも、「基準と観点」をおおむねクリアーし、残された課題についても、定員増等の全学的措置が必要となる事項を除き、ほぼ平成20~21年度内の対応が可能と判断されます。


今後は、さらに、「基準と観点」のクリアにとどまらず、全学一丸となって、質の一層の向上に向けた取り組みが必要であり、今回の組織評価の結果を基に、本学が掲げる教育・研究目的のより高いレベルでの実現を図るよう努力する所存です。

評価会議議長 南利明

実施組織別評価書

人文学部・人文社会科学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
教育学部・教育学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
情報学部・情報学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
理学部・理学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
工学部・工学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
農学部・農学研究科 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
自然科学系教育部・創造科学技術研究部 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
法務研究科 自己評価書 改善結果報告書
電子工学研究所 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
大学教育センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
全学入試センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
国際交流センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
遺伝子実験施設 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
機器分析センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
総合情報処理センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
イノベーション共同研究センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
生涯学習教育研究センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
こころの相談室 自己評価書 改善結果報告書
附属図書館 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
保健センター 自己評価書 外部評価書 改善結果報告書
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