地球内部で生じる現象のメカニズムを推定し、地震発生の複雑性と法則を解明
人工衛星の観測による地表変位、重力変動、並びに地震計による地表・地下の振動などのデータの統計モデリングに基づいて、地震やスロー地震など地球内部で生じる現象のメカニズムを推定してきました。
加えて、断層にかかる摩擦の非線形性や断層間の力学的相互作用がもたらす地震発生の複雑性と、そこに潜む法則を、物理モデリングに基づく数値実験で明らかにしてきました。
一例として、並行する断層間の相互作用により、ゆっくりすべり(スロー地震)が生じるような摩擦特性を持つ断層帯でも、突発的に高速すべり(地震)が起き得ることを示唆しました。
また、富士山や伊豆半島など、静岡県の特徴的な表層事象の成り立ちやメカニズムを定量的に考えることも進めてきました。一例として、約10年前に起きた富士山の膨張イベントからその力源の深さを推定しました。
ここ数年は、ニューラルネットワークやクラスタリングなどのデータ科学的手法に基づいて、地球の物理を考える取り組みを始めています。情報科学と地球物理学の融合という観点から、ビッグデータに潜む未知のシグナルの検出やそれらの特性化を行います。