硫化水素とレドックスをキーワードにした基礎研究を推進

火山や温泉に漂うにおいのもとは硫黄と水素の化合物、硫化水素です。硫化水素は濃度が高いと人体に害を及ぼす“やっかいな物質”ですが、これを化学反応に役立てる研究を進めています。
例えば、鉄と硫黄からなる硫化物(大涌谷「黒たまご」の黒色成分)を使って、アルカンからオレフィン(ポリマーの原料)と硫化水素を発生させます。このとき触媒から硫黄が徐々に消失して反応性が低下しますが、再び硫化水素と触媒を反応させれば、消失した硫黄が補われ、活性が回復することがわかりました(図1)。
これをレドックスサイクルと呼び、このレドックスサイクルを化学的に制御することにより、オレフィンが連続的に製造できることを明らかにしています。
今後は、硫化水素の特異な性質(“ラジカル”に変換しやすい)を活かし、新しい反応に挑戦しようと考えています(図2、3)。