大多 哲史 (OTA Satoshi) 磁気工学

磁性ナノ粒子で医療・先進技術に挑む

第6期 静岡大学若手重点研究者

磁気工学

大多 哲史

OTA Satoshi

磁性ナノ粒子を活用したセンシング技術

1989年4月生まれ、2015年横浜国立大学大学院博士課程後期修了、2015年静岡大学助教、2022年静岡大学准教授、2019年より第4期、2022年より第5期、2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

がんの早期診断・治療を目指して、磁性ナノ粒子の応答解析に取り組む

磁性ナノ粒子はナノ(10-9)メートルオーダーのサイズを持つ、磁気を帯びた粒子です。磁界を照射することで熱や磁気信号を発するため、がんの温熱治療や診断への応用が活発に研究されています。
例えば、磁性ナノ粒子を体内に注射して、がん患部に送り込み、加温することで治療をする温熱治療や、体外に設置した磁気センサで磁気信号を検知することで、がん検出が可能となります。さらに、がん組織の病理的な情報を解析する手法の開発を目指しています。
以上のように、身体への負担をなるべく少なくした、がんの早期診断と治療の実現に向けて、磁界に対する磁性ナノ粒子の応答解析、がん診断治療に適した粒子の大きさや形状などの解析や、微弱な信号を精度よく計測できる検出システムの開発に取り組んでいます。

Chapter02

動態制御や信号検出を非接触的に行うメリットを新技術に展開

また、非接触的に動態制御や信号検出を行える、磁性ナノ粒子および磁界の利点を生かした、腫瘍以外の生体組織や、医療応用以外の分野におけるセンシング技術など、磁性ナノ粒子の磁気的な応答を介して現象を観測または制御する技術への展開を模索しています。

Chapter03

「これまで観測できなかった応答を観測できるようにする」が研究の醍醐味です

磁性ナノ粒子は、分野を限らず様々な応用の可能性があると考えられます。その一方で、磁性ナノ粒子の磁界に対する応答について、実測により解析した例は、理論計算で示された例に比べて希少で、これは実測ならではの難しさがあるためです。
例えば、磁気的な応答の計測では、試料に磁界を加えるためのコイルを作製しますが、そのコイルの仕様と加えられる磁界の条件には様々な制限が存在します。
このような制限を計測装置の作製や計測手法において工夫することで解決して、従来では観測できなかった応答を観測できるようにすることは、研究の醍醐味の一つです。
その結果として、磁性ナノ粒子の物理を解明していくことは意義深く、未来の産業技術の発展に繋がります。磁性ナノ粒子について「従来では観えなかった応答を観る」ことを目標に、未来の科学技術に貢献し、基礎から応用へと展開していく研究の魅力を伝えていきたいと考えています。

[写真]大多 哲史 (OTA Satoshi)

第6期 静岡大学若手重点研究者