原 瑠璃彦 (HARA Rurihiko) 日本文化学・表象文化論

日本の〈表象〉を、未来の知へ

第6期 静岡大学若手重点研究者

日本文化学・表象文化論

原 瑠璃彦

HARA Rurihiko

埋もれつつある日本的表象の研究とその文理融合的展開

1988年7月生まれ、2014〜17年日本学術振興会特別研究員DC1、2017〜20年、同PD、
2020年東京大学大学院博士課程修了、2021年本学講師、2024年本学准教授、2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

日本の文学、美術、庭園、工芸、宗教、民俗学などに関わる「表象」を幅広く研究

私は、表象文化論という学問分野を背景に、日本における種々の「表象」の研究を行っています。そのなかでもとくに日本の庭園、能・狂言に関わることが多いため、これらを専門分野と説明することが多いですが、たとえば、拙著『洲浜論』で扱った「洲浜」は文学、美術、庭園、工芸、宗教、民俗学などに関わる非常に大きな広がりを持ったテーマです。洲浜とは、三保の松原のような「白砂青松」の海辺を指す言葉ですが、これから発展して、近年は「白」という表象についての研究を行っており、ますます分野横断性が増しています。

Chapter02

ソロワークスを基本としながら、多分野との共同研究にも力を入れる

こうした人文学の研究は、基本的にはソロワークス、つまり一人で行うものですが、これらを核としながら、一方で、種々の分野の方々との共同研究にもこれまで力を入れてきました。なかでも、2019年から進めている庭園アーカイヴ・プロジェクトでは、工学、メディア・アート、建築、音響学、染織などのさまざまなエキスパートたちとご一緒し、日本庭園の新しいアーカイヴを開発するとともに、日本庭園の新しい解釈、新しい日本庭園像の提示を行っています。

Chapter03

地味に見えるが、実は刺激と創造性に満ちた「知」の世界を次世代へ

しばしば人文学、文系学問の危機が謳われています。私が対象としている日本庭園や能・狂言、「洲浜」や「白」といったテーマは、ともすると「小難しい」あるいは「地味」なものに思われがちです。とくに私がそこで着目するトピックは、多少ググったくらいでは出てこないものです。昨今、世の中はますます、人気のあるもの、目立ったもの、分かりやすいものばかりに目が行くようになっているように思われます。しかし、私が扱う対象にじっくりと目を注いでゆくと、数百年単位の時間を超えて継承されているだけあって、途轍もなく刺激的なコンセプトに満ちています。そして、それらはきちんと適切に解きほぐせば、必ず多くの人に伝わり、共感を持ってもらえる。本学で教育活動をしているなかで、そのことの確信を深めています。世の中に埋もれていて、ちょっとやそっとでは触れられないけれども、途轍もなく刺激的でインスピレーションに満ちた「知」。それを世に、そして次世代に伝えていくことが使命だと考えています。

[写真]原 瑠璃彦 (HARA Rurihiko)

第6期 静岡大学若手重点研究者