岡村 和樹 (OKAMURA Kazuki) 確率統計学

ランダム現象の数学的研究

第6期 静岡大学若手重点研究者

確率統計学

岡村 和樹

OKAMURA Kazuki

不均質なものも含めた空間上の確率過程や確率場の性質に挑む

1987年4月生まれ、2015年東京大学大学院博士課程修了、2018年信州大学助教、2021年静岡大学講師、2025年静岡大学准教授、2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

空間の幾何学的性質は、確率過程の長時間挙動にどう影響するのか

自然現象や社会現象の中には不規則的に見えるものが多くありますが、中には隠れた規則性が潜んでいることがあり、数学的に分析できる場合があります。そうした分析を動機の一つとして発展したものが確率論や統計学といった分野です。
これまでに、パーコレーションなどのフラクタル的で複雑な空間上での確率過程、特にランダムウォーク(1粒子のランダムな動きの時間発展)の大偏差原理や訪問点の個数の長時間挙動に取り組んできました。
また、コーシー分布について、そのパラメーターの推定やダイバージェンスと呼ばれる分布の間の距離に相当するものを研究しました。コーシー分布は裾の重い分布であり、正規分布とは異なって平均や分散が存在しないため解析が困難ですが、応用上は重要です。

Chapter02

確率論的に関数方程式の解の性質を調べる

さらに、ある種の関数方程式の解が、特異関数というギザギザした関数になっていることをハウスドルフ次元と呼ばれる尺度に基づいて証明しました。
枠組み自体にはランダム性はありませんが、手法は確率論的であり、そのことにより詳細な解析が可能になっている点が特徴となっています。

Chapter03

生活に身近なランダム現象の背後にある構造を意識してほしい

サイコロを多数回振ることを考えましょう。このとき、出てくる数列はランダムに見えますが、全体を見れば1から6までのどの目もほぼ同じ割合で出現するという規則性があることが知られています。これは「大数の法則」と呼ばれており、最も典型的な確率論の法則ですが、一般的な設定で証明しようとすると測度論と呼ばれる専門的知識が必要で意外と困難です。
サイコロ投げは極めて単純な例ですが、現代ではランダム性の関わる設定の数学的研究は非常に大きな広がりを見せています。特にマルコフ連鎖などの確率過程は、古くから応用も顕著であり、例えば株価の変動、待ち行列理論、集団遺伝学、近年では大規模言語モデルとも関係があります。また、幾何学や解析学などの現代数学の分野において、問題設定にランダムな要素が含まれていない場合でも確率論的手法が用いられることがあります。
より多くの方が、ランダム現象の数学的解明やそれに関連した研究に興味を持ってくださることを期待しています。

[写真]岡村 和樹 (OKAMURA Kazuki)

第6期 静岡大学若手重点研究者