渡部 綾 (WATANABE Ryo) 触媒化学・反応工学

CO2を資源に変える新技術

第6期 静岡大学若手重点研究者

触媒化学・反応工学

渡部 綾

WATANABE Ryo

CO2から有価資源を大量生産する革新触媒プロセスの開拓

1982年4月生まれ、2011年静岡大学助教、2018年静岡大学准教授、2019年より第4期若手重点研究者、2022年より第5期若手重点研究者、2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

「炭素のリサイクル」でCO₂の有効活用に挑戦する

工場などから排出される二酸化炭素(CO₂)を有効活用し、燃料や素材として再利用できる新しい技術の開発が進められています。
これまでCO₂は地中に貯めるといった対処が中心でしたが、本研究ではCO₂を炭素(C)やメタン(CH₄)、合成ガスなどに変換し、燃料や電子材料、建築資材などに利用する「炭素のリサイクル(図1)」に挑戦します。
開発する技術は、優れた熱効率と大量処理が可能な「構造体触媒」を使っており、再生可能エネルギー(風力・太陽光)も活用します。さらに、CO₂をわざわざ分離・濃縮する設備を省くことで、コストを抑えて実用化しやすい仕組みを目指しています。
この研究で得られる固体炭素は、電池の材料や建物の補強材、さらに触媒としても応用可能です。
CO₂を資源に変える“炭素の錬金術”とも言えるこの技術は、日本のカーボンニュートラルへの取り組みを加速させるとともに、世界の環境問題の解決にも貢献する可能性を持っています。

Chapter02

排出されるCO₂に、再び「価値」を与える技術で、社会に貢献したい

私たちは、CO₂をただの「排出物」として処理するのではなく、「再利用可能な資源」として活用する新たな道を切り拓こうとしています。
気候変動が年々深刻化する現在、社会や産業がこの先も成長と安定を両立するためには、単にCO₂の排出量を抑えるだけでなく、排出されたCO₂に再び「価値」を与える視点と技術が欠かせません。本研究では、CO₂を燃料や高機能な炭素材料へと変換し、環境負荷を最小限に抑えつつ、資源としての活用を最大化することを目指しています。
限られたエネルギーと資源を未来の世代へとつなぐために、私たちは科学の力で“炭素の循環”を実現し、それを社会に根づかせていくことに挑戦します。この取り組みは、気候と資源の両面で持続可能な社会を築く鍵であり、次の時代を築く原動力になると信じています。

[写真]渡部 綾 (WATANABE Ryo)

第6期 静岡大学若手重点研究者