遠山 紗矢香 (TOHYAMA Sayaka) 認知科学

認知科学と情報教育の融合

第6期 静岡大学若手重点研究者

認知科学

遠山 紗矢香

TOHYAMA Sayaka

認知科学による情報教育の実践研究

1983年2月生まれ、2013年中京大学大学院博士課程満期退学、2014年同博士(認知科学)、2009年静岡大学技術部技術職員、2014年静岡大学教育学部特任助教、2018年静岡大学情報学部助教、2021年同講師、2024年同准教授、2022年より第5期若手重点研究者、2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

理解を深める手段として話合い活動を設計

私は、話し合い活動に注目して、人が理解を深めるために有効な手立てを作るための研究をしています。話し合い活動がうまくいくと、自分一人ではたどりつけないような深い理解に到達できます。こうした、理解を深める機会としての話し合い活動を提供するためには、認知科学の理論を活用することが有効です。そこで私は、プログラミングなどの情報教育で学ぶことを対象にして話し合い活動を設計し、その効果を評価しています。
認知科学は、「人はどのように賢くなるのか」を解明する学問です。私は認知科学の観点から、人が賢くなる過程を後押しするための研究をしています。

Chapter02

学習における効果的な「工夫」を実践・評価・分析する

授業等の場面でよりよい学びを引き起こすための「工夫」をして、その「工夫」が期待通りに働いたかを学習者の様子から評価し、評価結果をもとにして次の授業でよりよい「工夫」をすることを繰り返しています。例えば、解決すべき問題と、その問題を解くための複数の手がかりを提供すると、話し合い中の理解深化をより起こりやすくすることができるという「工夫」があります。倫理面を考えれば、よいと思われる「工夫」は学習者に等しく提供する必要がありますので、全員によりよい「工夫」を提供しつつ、一人ひとりの変化を詳しく追うことで「工夫」の効果を確かめています。
パソコンで受けるテスト(CBT)では、多肢選択式の解答が速く正確に採点されるため便利です。一方で「工夫」を改善したい場合は、解答の正誤と共に、学習者がなぜどのようにしてその解答を選択したのかを知る必要があります。考えの過程を知ることで、その後に同じことを学ぶ学習者がよりスムーズに学べるような「工夫」を考えられるからです。

Chapter03

行政や学校、企業などとの連携を通じて研究の適用可能性を高める

近年では生成AIと人とが協力してプログラムを書くことが当たり前になりつつあります。生成AIを含む先端技術は、適切に活用すれば人の生活を豊かにしてくれます。生成AIを活用することによって人が担うべき仕事の質が変わることへの戸惑いは、私も感じています。
速いテンポで技術が発展していく中だからこそ、人を対象としている研究者として果たすべきことは、技術が進歩しても簡単には変わらない『人間の学びの本質』を研究することだと考えています。これは、技術の進歩を無視するということではなく、技術が進歩しても役立つ研究をするという意図です。そのために、大学の授業はもちろん、文部科学省や教育委員会といった行政や、小中学校・高等学校、教育関係の企業等とも連携させていただくことを通じて、多様な観点から自分の研究をより良くすることに努めています。学外の皆様には趣旨をご理解いただいたうえで勉強をさせていただき、感謝しております。今後も地域連携と研究とを一体的に進めていきたいと考えています。

[写真]遠山 紗矢香 (TOHYAMA Sayaka)

第6期 静岡大学若手重点研究者