久保 篤史 (KUBO Atsushi) 沿岸海洋学

沿岸海域における物質循環研究

第6期 静岡大学若手重点研究者

沿岸海洋学

久保 篤史

KUBO Atsushi

多様な観測アプローチで沿岸海域の物質循環を明らかにする

1985年4月生まれ。2015年東京海洋大学大学院博士課程修了、2017年静岡大学助教、2021年同講師、2026年同准教授。2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

多様な物質が流入・循環する沿岸海域で、二酸化炭素の放出・吸収量を観測調査

沿岸海域は、生活排水などの人間活動に由来する炭素(二酸化炭素や有機炭素)が多く流入してきます。さらに、栄養塩類(窒素やリン)も同様に流入してきます。有機炭素は分解されて二酸化炭素生成、栄養塩類は光合成に利用されることで二酸化炭素消費が起こります。
これらの過程のどちらが優勢かによって、その海域が大気に対して二酸化炭素を放出するのか、吸収するのかが決まります。二酸化炭素の放出・吸収量は、その海域における生態系の構成、例えば植物プランクトンが優占しているのか、アマモなどの水生植物が優占しているのかによっても大きく変化します。
そのため、様々なタイプの沿岸海域を訪れて現場観測を行い、二酸化炭素の収支推定を行っています。

Chapter02

温室効果ガスと沿岸海域の関わりをより詳細に評価したい

また、主要な温室効果ガスには二酸化炭素だけではなく、メタンや一酸化二窒素も含まれます。
これらの放出は、二酸化炭素吸収効果を少なからず打ち消す可能性があるため、正味の温室効果ガス収支を推定することで、温室効果ガスと沿岸海域の関りをより詳細に評価していきたいと考えています。

Chapter03

自分の目で見て、肌で感じながら観測できるのが魅力

地球温暖化に伴う気候変動の影響を評価するためには、より詳細な現場観測データが必要です。
近年は様々な観測網の整備により、得られるデータは飛躍的に増加しています。しかし、沿岸海域は時空間変動が非常に大きいため、現在でも詳細な現場観測を行っていくことが不可欠です。
また、沿岸海域の物質循環を明らかにするためには、流域の河川や下水処理場での観測、昼夜を通した連続観測、時には手漕ぎボートでの観測、水中だけではなく堆積物や大気からの流入物質の測定など、多様な観測アプローチが求められます。最近では、泡として排出されるメタンの量を評価するために自作の道具を作成して観測に用いたりもしています。
このような現場観測は、一見すると大変そうに思われるかもしれません。しかし、大都市に囲まれた都市沿岸海域や雄大な自然環境の中で、自分の目で見て、肌で感じながら観測できることはとても魅力的な体験です。

[写真]久保 篤史 (KUBO Atsushi)

第6期 静岡大学若手重点研究者