ルグラン ジュリアン (LEGRAND Julien) 古植物学・古生態学

堆積環境と陸上生態系の解明

第6期 静岡大学若手重点研究者

古植物学・古生態学

ルグラン ジュリアン

LEGRAND Julien

花粉化石から被子植物の起源や動植物の共進化を探る

1982年4月生まれ、2009年ピエール・マリー・キュリー(パリ第六)大学大学院博士課程修了、2011年日本学術振興会海外特別研究員、2014年中央大学理工学部生命科学科助教、2020年東京大学大学院理学系研究科特任研究員、2020年10月より静岡大学理学部地球科学科助教、2026年同学科講師。2025年より第6期若手重点研究者。

Chapter01

植物の化石が太古の環境や気候を明らかにする

陸上植物の祖先が出現したのは、今から約4.7億年前。以来、植物の進化は、生態系の変化に大きな影響を与えてきました。植物の化石には、その時代の情報が多く秘められています。私は、海底および陸上に堆積した地層から胞子・花粉などの微化石(ミリ~ミクロンサイズの化石)を抽出し、古環境や古気候の推定や植物の進化史について研究しています。この研究は、地質学、生物学、環境学など幅広い分野に応用できます。

Chapter02

日本最古の胞子化石群集を4億年前の地層から発見

最近では、岩手県大船渡市の約4億年前(古生代デボン紀)の地層から、日本最古の胞子化石群集を発見し、当時の日本に原始的な維管束植物からなる“草原”が広がっていたことが初めて解かりました。
また、中生代に地球生命圏の様相を一変させた被子植物の起源や初期進化の解明を目指し、国内外で調査を進めています。北海道むかわ町で、恐竜の化石と同じ地層から採集した花粉を分析し、恐竜の生息年代と環境を明らかにしました(図)。植物と共産する動物化石や古土壌の解析により、陸上生態系や動植物の共進化を包括的に理解できると考えています。

Chapter03

生物多様性のホットスポット・東南アジアに魅かれて日本へ

山口県前期白亜紀(約1.3億年前)のシダ植物化石

私はフランス中部・シャルトル出身です。子どもの頃から考古学や古生物学に興味を持ち、小学校5年生の頃にシャルトル周辺の採石場で初めて白亜紀の化石発掘を体験しました。その後、ジュラ山脈などフランス北部の化石産地を訪ねるようになり、修士課程から原始的被子植物について研究を始めました。欧米地域の古花粉学的研究の進展により、被子植物は北部アフリカに起源し、白亜紀の中頃から急速に多様化し分布を拡大したとされています。しかし、東南アジアを含め低緯度地域の化石分布、及び、その年代の分解能に乏しく、現在も生物多様性のホットスポットである東南アジアを中心に被子植物が繁栄した可能性もあると考え、博士課程では東京大学に留学し、日本各地やベトナム、タイなどの現地調査と花粉分析を進めてきました。研究は、現在の状況に満足せず、課題が中断したところを取り上げたり、未知のままであるものに取り組む等して、より真実に近いものを追求していく姿勢が重要だと考えています。

[写真]ルグラン ジュリアン (LEGRAND Julien)

第6期 静岡大学若手重点研究者