【第125回 2019.7.5】

同窓会の開催に寄せて

投稿者:長谷川隆義(昭和46年 理学部生物学科卒)

 平成という時代って、「ノーベル賞ラッシュ」といわれるほどに、自然科学系のノーベル賞受賞者の数が多かった。18名のうち、ノーベル物理学賞の受賞者は11人、そのうち素粒子物理学の分野が7人と、その大半を占めている。だが多くは昭和の研究で、今の力を反映しているわけではない。「ノーベル賞が出ているから日本はすごい、というのは間違い。若い人が続かないと日本の科学は空洞化する」と語ったのは、ノーベル医学生理学賞が決まった翌日、記者会見に臨んだ大隅良典栄誉教授。研究環境は劣化し、「ものすごく短期間で費用対効果が問われ、みな疲弊しています」という。研究の「選択と集中」が始まったあと、2004年に国立大学が法人化され、国立大学の人件費や研究費は約1400億円削られ、研究資金を大学の外からかき集めざるを得なくなった。そんなことから、学術論文数はでは、各国が伸びるなか、日本は減少傾向にあり、一人負け状態にある。「基礎科学の芽が育たぬ日本」と言われて久しい。社会を変える技術革新は基礎科学が原動力のはずで、生み出すのは人なのだと思う。「若い人がチャレンジしにくくなっている」という現状を改善する手だてはないものか、気にかかる昨今です。

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